クーロイ【illust/57748316】から
リンドウさん【illust/57717472】へ。
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長年のインドア生活が祟り、花屋の居場所がわからない。
帰ってきた兄さんに頼み込み、連れて行ってもらった。
…花屋とはすごいものだ。開花時期の違う花が、どれも美しい満開の状態で
広々とした店内を一面彩っている。
父さんに昔聞いた、気温を調節して開花を揃える手法を使っているのだろうか…?
黙々と考えているのに気づいたのか、
「早く選ばないと日が沈むぞ~」という兄さんの声。
慌てて花を探すが、沢山ある花の中から一輪選ぶのに、そう時間はかからなかった。
「選んできたはいいものの・・・少し味気ないだろうか?」
蒼月の日の前日、
一輪の花にリボンを結びながら、呟く。
たった一本でも十分美しい。だからこそ、この花を意中の相手に渡す人が他にもいるかもしれない。
どうにかならないものか、と悩んでいると
「≪たくさんあるものの中のひとつ≫を、特別にする方法があるわ!」
母さんが(得意げに)後ろに立っていた。
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そして当日。
今日渡す花・・・彼女の名前でもあるこの竜胆≪リンドウ≫は、正義、愛情、誠実を表す。
リボンに掛けた首飾りに付いている石はペリドット。
母さんの言っていた『特別にする方法』は、一緒に贈り物を添えることだった。
以前「これは母さんからもらったものだ。」と、父さんが指輪を見せてくれたことがあったが、母さんも指輪を添えて一輪を特別にしたのかもしれない。
ペリドットの石言葉は、≪運命の絆、夫婦愛、夫婦の幸福、信じる心≫。
俺が彼女に、永遠に誓う事。
この先何があろうとも、
絆を信じ、彼女を信じ、彼女に誠実に、ずっと幸せにするという約束の印代わり。
「リンドウ。貴方を絶対、幸せにすると誓うよ。」
空から舞い降りてきた彼女に花を渡す。
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後日談
父
「クーロイはなぜ、雪の国を選んだんだ?」
クーロイ
「母さんが前に言っていた、父さんと見に行きたい場所が雪の国にあるからかな。
なんでも、その場所からしか見えない星を恋人と見ると、二人はずっと結ばれるとか。。。
だから俺もそこにリンドウと行こうと思って。」
母
「やだ…その話覚えてたの…?!」
2016-07-12 16:56:47 +0000