【YofH&E】角宿【第1期】

葉ユル
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天と地の世界樹【illust/54032140

✧角宿‐スボシ‐ 天の民(天pt:10 地pt:0) 121歳/190cm/男/人称:俺、お前・そちらさん、呼捨て 
✧Skill
 天空の運び屋‐テンクウ*クーリエ‐:手紙の配達、荷物の運搬、空の移動手段にぜひご活用ください。
              ただし運搬に使う船の設備が不十分なため長距離の移動は出来かねます。
 ロマンチスト:理想を追う男

✧可愛い伴侶様に出会えました!(2/11)
❀俺に幸せを運ぶ小さな花 キルシュブリューテさん【illust/55019102

―彼の目に留まったのは、外へと開け放たれた扉とその向こう側に在る彼女の姿。
強く外に焦がれていながらもその場から動けずにいる彼女の姿。
それを誰よりも“長である彼”が容易に見過ごすことを許さなかった。
静かに彼は扉の前に立ち彼女に声をかける。
決して内に入らず、こちらを見つめる彼女にそして手を差し伸べた。
これが彼のエゴだと知りながらも。

「興味があるといった顔だなキルシュブリューテ。いーや、別に悪かねぇよ。
 最近は一族のガキ共もろくに俺の話を聞きはしないからな。むしろ話し甲斐がある。じゃあ次は…あの話にするか」
「キルシュブリューテ。失敗が悪いなんて道理はない。なによりお前が力を尽くしたのなら誰もお前を責めはしねぇ。
 仮に責めるようなやつがいれば、すべて俺が黙らせる。それが例えお前自身でも、だ。
 いいか、失敗した時のことはその時に考えろ。まずは自分に何ができるのか、どうしたいのかを探せ」
「お前がそう望み決めたのなら俺の答えは一つだけだな──行くぞ、キルシュ。
 俺の見てきた世界も、まだ見ぬ世界すらもお前に見せてやる」

―予感がした。
彼女が初めて彼の手を取ったあの時
彼女が初めて笑顔を見せたあの瞬間
小さな予感は確かに彼の中で芽吹き始めていた。

「せっかくだ、お前にもひとつ手伝ってもらうことに決めた。というわけで、キルシュブリューテ。
 俺の次の言葉が何かわかるな?…そう身構えなくてもいい。キルシュができると思うことをやってみろ。
 んで、いつものように助けが必要だと感じた時は?そうだ、俺に言え」
「今までろくに花を愛でて来なかったからな。その良し悪しはわからねぇが……ただ、そうだな。
 キルシュの花は気に入っている。薄く淡い色合いも、小さくいじらしい姿も実にお前らしくて俺の好みだ」

「お前は周り俺の嫁だと思われるのは嫌か?……そうか、なら今はそれでいい。
 だが、“ 未来の俺の嫁 ”という言葉は嘘でも冗談でもない俺の本心だ。それは覚えておいてくれ」
「お前は俺に一人の男としての生き方を与えてくれる。その小さな手で俺を幸せで満たしてくれる。
 これはお前にしかできないことだ。今まで他の誰にも成し得なかったことをお前だけが叶えられる。
 ……自分に誇りと自信をもてキルシュ。胸を張って、この『世界』を生きろ」

「言ったろ?俺に幸せを与えてくれるのはお前だけだ。そして俺の心を乱すのも、お前だけだ。
 本音を言うと逃げられたのは少し堪えたな。…──だから、もう逃がさない。
 キルシュ、俺はお前が好きだ。笑うお前も泣き虫なお前も、怒ったお前もすべてが愛おしい」

涙で濡れた瞳でこちらを見つめる彼女の頬に静かに触れる。
壊さないように優しく、二度と離さないと誓うように強く彼女の手を結ぶ。
感じた小さな予感は、とうの昔に花開いていた。

あの日、彼女を見つけ声をかけたのも
あの日、彼女に“長”として手を差し伸べたのも
あの日、彼女の隣で世界を目にしたのも

すべては《現在》と、《未来》に繋がっている。

―彼は一つの願いをこれから口にする。
今のこの世界において残酷とも言える願い
今の彼がなによりも強く望む願い
“ 角宿というひとりの男 ”が初めて抱いた願い

その願いが、その想いのすべてが彼女へと届くように
彼は愛しい名を呼び、そして告げる。

「キルシュブリューテ、──俺と生きてくれ」

*** 
とある浮島に白鯨に乗る王子様と愛らしい桜を宿すお姫様が幸せに暮らしていました。
ある日、二人の間に双子の女の子が誕生します。
―まるで両親の幸せを象徴するかのようにその身に幸せの《蕾》を宿して。

それをまだ知らない王子様はただ静かに願うのでした。
この蕾もいつか、幸せで花開くようにと。

✧咲き誇る幸せ
ガルデーニア【illust/55559364
「ニアの記した記録は、遠い未来の誰かへと必ず繋がる。
 だから届けろガルデーニア、お前の目にした真実をお前の手で未来に運べ」
昴宿【illust/55646500
「二人共にそれぞれ母さんに似ている部分はあるが…そうだな。
 案外お前は母さんの一番可愛い所を受け継いでるのかもしれねぇな」


✧星鯨使い‐シンジンツカ‐
 星鯨の発する超音波を聴取出来る耳を持ち、同じ周波数を出せる笛を身につけている。
 日々の荷物運搬で鍛えられる為か一族内では屈強な男衆が目立つが、
 星鯨使いとしての技量の高さはどれくらい星鯨と意思疎通が図れるかが重要であり、筋肉の必要性はほぼない。
 種族の寿命は400年程。しかし先代を含め角宿の親の代までは一族を彼に託して世界樹の元へ旅立った為、
 現行角宿が最高齢となり他は歳若い者ばかり。彼が結婚をしなかった理由の一つはここにある。
✧星鯨‐ホシクジラ‐
 体に星の印を宿す空飛ぶクジラ。星の数で体長が異なり、小さいものは一ツ星の20cmから。
 三ツ星クラスになると30m程を有し、大きな荷物や人を運ぶことも可能。
 寿命は千年程と長く、星鯨使いの親から子へ受継がれることも多い。

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2016-02-07 15:23:19 +0000