【仁本物語弐】芦月亭楽好【第弐世代】


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仁本物語【弐】【illust/52333018


誰もいない舞台の上。証明だけが明るく、座布団のみがある。
そんな静かな舞台の上に

ズドンッ

彼は上から落ちて、頭から突っ込んできた。
彼のついつものこと。涙目ではあるが笑顔の彼はいつの間に、いや落ちた姿勢が礼の状態だったろう。
顔を上げ話し始める。

「えー話を始める前のこの部分を枕と申しますが」

服の乱れもなく、打った部分も赤くはならず、
話をする話し手にふさわしい姿をしていた。

「頭から突っ込むのはおやめください」

お前が言うな、と誰もが思っただろう。
うまいと誰かが思っただろう。
そんな落語家いるものかと思っただろう。
そんな話し手なのだ。落語家とは言い難いが。
彼はそう言うやり方で話すのだ。
目と耳で聴かせるのだ。

「語るに落ちる、と書きまして【落語】、
       一席お付き合いを」

落語家にして落語家でない、語り部・芦月亭楽好という男は。


 

芦月亭楽好(あしづきてい らくよし)
男性 158cm 28歳 人間
一人称:あっし 二人称:あんた

楽観的でのんびりやな語り部。
落語を言いように改変して語ったり民謡で遊んだりしている。
体張って語るから「落語家って胸張って言えんのか」っていわれて「体を張って語ってますがな」ってああ言えばこういうのようなやりとりして師匠に怒られ諦められた。
落語家というより語り部と言われて語り部を名乗ってる。



ご縁いただきました。
誘妃さん【illust/53690177

語る言葉に踊る心か
あぁ、理想か、それとも思い込みか。
目の前の娘に対して笑っているのか、想像する自分に対して笑ったのか、
今ではもう分からない。


「願うなら何度でも語りましょう」

なぜあの言葉が出たのか、なぜあんな言葉を吐いたのか。
所詮騙るしか能はないのか
だが本心だ。今でも、言葉に出来てしまうのだろう。


「あっしに出来る事はこれくらいしかございませんから」

紡ぎ騙り語る。偽すらも真実であるように、
わからないことすらもわかったかのように、
それが、自身のできる最大限だ。


「わかっているさ」

だからこそ、彼女への心だけは偽らないようにと。
共に笑うことを良しとした彼女だけは裏切らないようにと。
明ける空は未だ高く、登るにはまだ早いと思い浸る早朝。
目をこする彼女の姿があった。
眠たそうな彼女の姿を見て、まだ世に未練はあるものだと苦笑しながら、私は彼女に言うのだろう。


「おはよう、誘妃」

そんな、日常が
続くことを夢見て

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2015-11-02 15:06:01 +0000