ワタリガラス
「…？この思念は……？」
シェザはふと立ち止まる。
ゼンゼンというあの女とのお喋りにずいぶんと時間をとられてしまった。
闘いの気配に誘われ、ネヴァーランド号の内部に飛び込んだシェザの脳裏に、ざらりと触れる思念があった。
（焼け付くように激しいのに、凍てつくように冷たい……これは絶望…？それとも悲哀か、あるいは愛情か……）
伝わってくるのは、一人の男の思念。しかし、それは徐々に弱まっているように感じられる。
（死にかけているのか…？しかし）
ただ単純に死にかけている気配とも違う、何か妙な『手触り』のキオクだった。
「…いずれにせよ、面白そうだな」
興味の赴くまま、そちらに足を向ける。
碧い通路をどれほど行っただろう。
急に開けた視界の向こうに、得体のしれない流動体に追われる二人の人影が見えた。
「あいつだ…！！」
そのうちの一人、金色の長い髪の男。
それが、先ほどの奇妙な思念の持ち主だった。
「っく…！？なんだ、お前は。」
警戒するように思わず足を止めた男の傍らには、青い髪の少女。こちらを見て驚いたように立ち止まったその少女の顔を見て、シェザの中の『ルツ』がざわりと騒ぐ気配があった。
（こいつ…確か、例のルツの仲間連中のうちの一人………）
「！！やべえ！！」
背後を振り向き、男が舌打ちをする。足を止めた隙に、背後からずるりと不定形の影が忍び寄っていた。
「…うるせえな」
シェザが手を一振りすると、激しい烈風が生み出され、あっという間にその流動体をずたずたに切り裂く。しかし、「そいつ」は切り裂かれてもすぐに互いにくっつきあい、もとの大きさを取り戻してしまった。
「…なんだ、こいつは」
シェザの表情に、にいっと剣呑な笑みが浮かぶ。
（おもしれえ）
足元に忍び寄ってきたそいつをかわしてふわりと風を繰り、宙に浮かんだシェザは声をはりあげた。
「おい、おっさん！！とりあえずこいつを撃退するぞ！話はその後だ！」
お借りしました！
アブソルトさん illust/52273088
コルメトイスタさん illust/49684346
M.M.P.N.5.X illust/52671756
ありがとうございました！！
自キャラ：シェザillust/52622511
アブソルトの兄貴が危ないと知っていてもたってもいられず…！！（ひそかにファンでした）
こちらillust/52687391（よしさん「アムネジア」）からこちらillust/52700544（餅野もてぃーのさん「逃走中！」）の流れにつながっている感じの時系列で描かせていただいております。
シェザとしては特にお二人を助けるつもりではありませんでしたが、アブソルトさんの表層意識を感じとり、その在り様に興味を抱いたようです。
シェザは基本的に気まぐれです。いかように動かしていただいてもかまいません。気が向けば人を助けることもありますが、飽きたら見捨てたり殺したりすることにもなんら躊躇はありません（ただし、シェザの中にいるルツは殺人には激しく抵抗します）。
お借りした方々の行動や信条などを縛る意図はございません。
時系列や展開にもしも問題があるようでしたら、遠慮なくスルー、パラレルでお願いできましたら幸いです。
…なお余談ですがこちらillust/52457638（北大路某さん「２人の魔法使い」）とこちらillust/52685076（北大路某さん「風と月」）でも一連の素敵なエンカをいただいておりまして、キャプション冒頭にある通りこの場面は「風と月」の後の時系列のつもりで描かせていただいております。後日のこちらのエンカに対してもぜひお返事描かせていただきたいと思っておりますので今しばらくお待ちいただければ幸いです…！（とりあえずアブソルニキが危ないと思っていてもたってもいられなかった）
素敵企画「Pixiv Fantasia T」illust/49662235
何か問題などございましたら、お手数ですがメッセなどでご一報ください。
2015-09-25 13:09:45 +0000