illust/42172931 ファラム歴で二百年前 イクサル侵攻に失敗したファラムの脱出ポッドに乗っていたのは4人の奴隷だった、彼らはごちそうを取り出し、酒盛りをしていた
「ひゃーすげえ!!こんなごちそう食べたことねえ!」
「酒もたんまりあるよ!!ははは!!こいつはいいねぇ、どんどんやりな!!」ルーザは女でありながら瓶ごと豪快に飲んだ
「な、なあ・・姉御」ゲルダスが恐る恐る尋ねる
「何だい?辛気臭い面してんじゃないよ!お前もやりな!!」
「それどころじゃないよ・・俺たちゃ将軍を殺しちまったんだぜ?どうすんだよ」
「フン!!あんなやつ殺してやったほうが星のためってもんだ!!あのことは今ここにいるあたしたちしか知らないことだ ばれやしないよ!!」
「け、けどよ・・」
「うっさいねえ!!いいかい、あたしたち奴隷には一生家畜のような扱いが待ってるんだい!!そんなのはごめんこうむるよ!!だから 今度は這い上がるんだ 一番てっぺんまでね!!」
「どうするんだい?姉御」片目のルゼクトが聞く
「将軍のやつが星々でぶんどってきた隠し財産があるのさ それで貴族の身分を買うんだよ、今は金を持ってる奴が一番強いんだ そうだろ!?大法官だって金を積めば犬のように4つ尻尾を振るさ!!ルゼクト、ウライ お前たちはどうすんだい?」
「お、俺は姉御についていくよ 鞭でぶたれて もう片方の目を潰されたくねえや」
「俺もついてくぜ!!こんな暮らしから抜け出すんだ!!」ウライも食べ物をほおばりながら言った
「そ、そううまくいくかな・・」ゲルダスはまだ決心がつかないようだった
ルーザはその態度に激高し、銃を向けた
「んじゃあ ここで死にな!!秘密を知ってる以上は生かしておけないね!!あたしたちにつくか!!将軍と一緒に星屑になるか 二つに一つだ 性根を据えて返答をしな!!」
「わ、わかったよ姉御!!俺もついていくよ!!」
「わかりゃあいいんだよ!!さあ 景気づけに飲みな!!心配することないさ、イレイド王だって、まだボーヤだし、これは生きるか死ぬか、あたしらの戦争なんだよ!!」
こうしてドノルゼンたちは貴族の身分を買い、イレイド王の側近にまで上り詰めたのだった
息子のアクロウス王の代になっても 陰で実権を握り続けた
そんな王が襲撃を受け、行方不明となる事件が起こった
帰らぬ父を想い、ララヤは毎日泣いていた
「父上・・もう戻ってこないのかな?・・ララヤが悪い子だから 帰ってこないの?ごめんなさい・・もう悪い子にならないから 父上を返して!うえぇーん・・!」
「ピクゥー」
突然変な声がした、驚いてみると黒い妖精のようなものがいた
「お、お前は誰じゃ?」
相変わらず「ピクー」としかしゃべらなかったが なぜかすごく安心した
「お前 わらわの友達になってくれるのか?ありがとう・・・なぁ、わらわはどうすればよい?お父上がいなくなった今、わらわはどうすれば・・・」
「ピクゥー!!」
「え?・・そう、わらわはこの星が好きじゃ、この星に住む民のみんなが好きじゃ・・それを守るためにするべきことは一つ・・・ありがとう お前のおかげでわらわは勇気がわいたぞ!!まるでお父上がそばにいるようじゃ これからも友達でいてくれ!!」
「ピクー!!」
「ピクシーになっても王様の言葉がわかるなんて、さすが親子だねえ」サージェス・ルーグ もう一人のピクシーの姿のかつては騎士だった男が言った
「私も不思議に思っておるのだ・・ララヤがなぜ、ああしたのか だが、私もそれが一番の最善の策かもしれぬと思うのだ・・我々も見届けよう ララヤのファラムの行く末を・・・すべては星の導きのままに・・」
「俺も難しいことはわからねえけど、何だかいい方向に向かってる気はするぜ!!待ってろよ、姫様は俺が必ず助け出すからな!!」
一方、ドノルゼンたちはアクロウス王を探索する振りをしながら次の計画を練っていた
「全く・・どこのどいつか知らないけど余計なことをしてくれたよ」
「あ、姉御・・いや、ドノルゼン様 本当にアクロウス王に手を出していないので?」
「バカ言うんじゃないよ!!あの王はいけ好かないけど、いい金づるだったんだ!!それをみすみす手放すもんかね!!だが・・・もう生きてはいないだろうね 仕方ない こういう時のための『保険』が役に立つ時が来たよ さあ『アレ』を使うとしよう」
王の間に戻ったドノルゼンたちは驚いた
「ラ、ララヤ様!!そのお姿は!?」
「残念ながら、もはや父は戻らぬ、ならば わらわが父の後を継ぎ 王位を継承する 国王の長子である わらわなら問題はないであろう!!」
「し、しかし ララヤ様はまだ・・・」
「子供じゃと申すのか?そんなことは分かっておる だから政治のことはそなたたちに任せよう!!その代わり、わらわの教育係に父上の代からオビエス家に仕えてくれるミネルを推挙する 文句はないであろう!?では よろしく頼むぞ!!ドノルゼン」
「は、はは!!(・・クソ!忌々しい小娘め、お払い箱にしたミネルを呼び戻すとは・・だんだん父に似てきおったわい、まあいいさね 所詮あんたはお飾りなんだ・・・いつかは隠居してもらうよ、その時まで『アレ』は取っておくことにしよう しばらく女王様気分を楽しみな・・)」
この権謀術数の世界を見ていたものたちがいた
「ふーむ・・ファラム・オービアスか、聞いたことのない星だ」
「あれは地球や火星よりはるかに大きく、さらに多くの部族がいる これは民主国家の概念で抑えられるものではない 強力な独裁でなければ治められぬものなのだ・・先代の王がどうやってそれを成し遂げたかはまだわからんが・・あの幼い女王が これからどこまでやれるかは これからの風の向きによる 俺もこの『物語』を完結させねばならんが それも難しくなるかもしれんな」
「なぜだ?」
「俺の世界ではこういう世界を作ることを禁止する風潮が出来上がろうとしている ここじゃ、あの世界も、あんたの世界も 俺が手を加えて作った世界だ それを断行されたら なす術がない」
「貴公のような世界を作る力を持つ創造主なら 万能の存在と思うておったが 違うのか?」
「俺も残念ながら その中では一番下っ端の存在なのさ・・」
「なぜそのような事が起こっておるのだ?」
「TPP・・表向きは経済協定と抜かしてるが、実態は『自由』の名を借りた侵略、それはな『戦争』なんだよ 戦争ってのは様々な形態がある、こういうのもその一つさ 『非親告権』,その世界の創造主が告発しなくても、訴追できるのさ 著作権を守るためだと言ってはいるが、とどのつまりは 俺たちを根絶やしにしかねん事になる」
2015-02-12 11:45:58 +0000