イクサル讃歌②

相摸屋 分三郎
Preview Images1/162/163/164/165/166/167/168/169/1610/1611/1612/1613/1614/1615/1616/16

国王によって184人の殉国者が選ばれた

しかし、カプセルのようなものに入れられたオズロックは何か異様な気配を感じ取った

「国王陛下・・これは!?」

「すまぬ オズロックよ お前たちをだますつもりはなかったが こうでもしなければ納得すまいと思ったのだ 申し訳ないがお前たちには生き残ってもらいたい」

「我々はイクサルのために命を捧げると誓ったのです!!今更なぜ生きろなどといわれるのですか!!」

「わかっている イクサルのためにこれほど多くの民が殉じてくれることは大変うれしい だがすべてのイクサルの民が死に絶えてしまっては何にもならない 私は一人でも多くの民に生き残ってもらいたいのだ」

「『いにしえの英知』を復活させ 資源の元を断てばファラムの侵略はおさまると言われたではありませんか!!」

「それは無理なのだ・・『いにしえの英知』の『最終魔動』を発動すればすべては無にかえるが 同時に人も全て浄化されることになる そうなればイクサルの民は滅ぶのだ だから生き残るべき者たちを私が断腸の思いで選んだ 特に忠義心と愛国心の強い お前たち184人をな」

「なぜ184人なのですか!?」

「コールドスリープ装置で200年の眠りについてもらうのだ 本当は全国民をそうさせるはずだったが・・それだけしか用意できなかった・・200年たてばその頃にはもう戦乱も収まっていよう そして生き残った者たちでイクサルを復興させるのだ」 

「それならば陛下 あなたが生き残るべきです!!」

「私は『最終魔動』を発動せねばならん そして、イクサルの国王として最後を見届ける義務がある 今まで散っていった者たちのためにも私は最後の最後まで民と苦しみを分かち合いたいのだ 執政官はお前を除いて全員戦死してしまった お前には生き残った者たちの指導者になってもらいたい」

「私が・・無理です!!」

「他に適任者がいないのだ・・他にな・・頼むから まげて承知してもらいたい」

「お兄様 私からもお願いします」

オズロックは驚いた そこに妹の姿があったのだ

「タリサ・・・!!お前!!」

「お兄様 だましてごめんなさい・・・私が国王陛下にお願いしたのです」

「なぜだ!?お前こそ生き残るべきだろう!!」

「私は体が弱くてコールドスリープにはとても耐えられません ですが代わりに 一人の子を助けることにしました 私は助からなくても一人でも多くの民が助かる方がいいと思います この子は戦争のショックで記憶を失っておりますが きっとまた笑える日がくるでしょう・・・お兄様ならできると信じております」

「・・そんな・・・ダメだ・・うあああああー!!!!」

「オズロック・・すまぬ イクサルを頼む・・・セファイド博士 君も科学者として生き残ってくれるな?」

「いえ 私もここに残ります 私の一人息子にすべての研究の成果を託したいと思っております 私もイクサルの科学者の長として最後を見届けたいと思います」

「そうか・・・」

「国王陛下 ファラム・オービアスが総攻撃をかけてきました」

「うむ イクサルの勇敢なる民たちよ お前たちが無事脱出できるよう 我々が時間を稼ぐ 必ずやイクサルの血と魂をつなぎ、イクサルを復興させてくれ 勇敢なる民に幸あれ そしてイクサルに永久に栄えあれ」

「うおおおおおーーーー!!!!!」オズロックは泣いた 他のカプセルに入ってる者たちも全員 あたり一面に慟哭がこだました

「さらばだ・・・」国王は背を向けると民を連れて外へ出た

ファラムのホロゴースト将軍の艦隊はグレートブラスター砲を用意し イクサル人を隠れ家ごと吹き飛ばす用意をしていた

「将軍 イクサル人たちが出てきました」

「フン 観念したか、ヤケになったか どちらにしても虫けらどもを生かしておくつもりはない 叩き潰せ!!」

艦隊は一斉砲撃を行った

そのとき地面が急に光り輝き始め 丸い特殊な模様になった

「な、何だ あれは!?やつら何をしている!?今更何をしようと無駄なことだ!!」

「右舷から熱反応!!」艦隊に向かって光の弾が飛んできた

「無駄だというのがまだわからんのか イクサルのカビの生えた兵器など 我が戦艦に傷一つつけられんわ」

ズガアアアアアン!!!!!

「うおおおおお!?」

「右舷大破!!コントロール機能50パーセント低下!!」

「ば、バカな!!このギャラクティカ装甲を破るような強力な兵器がやつらにあるわけがない!!どうなっている!?」

「味方の部隊が次々とダメージを受けています!!」

「そんな馬鹿な!!一体なぜ!?どうなってるのだ!?」

イクサルの『最終魔動』の一つ『閃華』 それは人の生命力を膨大なエネルギーに代え 圧倒的破壊力を持つ爆弾に変える いにしえの人々が封印した恐るべき非人道的な秘術であった

これには頑丈な装甲を誇る船団もひとたまりもなかった

こうしてホロゴースト将軍の部隊は壊滅した

星外に待機してる艦隊も 恐れをなして近づけないでいた

将軍は瀕死の重傷を負っていたが 緊急脱出コクピットへたどりついた

「おのれ・・おのれえ!!蛮族どもめ!!星外に待機してる船団を引き連れ今度こそ皆殺しにしてやる!!」

「おっと悪いね ここは満員だよ」

驚く将軍にニヤニヤしながら銃を突きつけたのは 将軍が折檻していたあの下女だった

「何をしておる貴様ら!?それは私の脱出ポットだぞ!!」

「おあいにくだったね アンタはもう用済みさ」

「ど、奴隷どもが!私を何と心得る!!」

「負け犬の将軍なんて知らないね 誰もあんたを助けなんて来ないさ あんたは味方からも嫌われてんだから 哀れだねぇ それとアタシの名はルーザ・ドノルゼンさ その腐った頭に叩き込んでおきな!!『力こそすべて』アンタはいいこと教えてくれたよ 力を失ったあんたはもはやイカれた戦場の手負い犬だよ 名誉の戦死ってことにしておいてやるから安心しな」

「うがあああああー!!!!おのれえええーーー!!!!」

ドノルゼンは将軍の顔に銃弾を発射した

顔に数発の弾丸を受けて将軍は顔の半分をフッ飛ばされながら落下していった

将軍は死に 艦隊は全滅した

「では『最終魔動』を発動させよう」

国王がさらに呪文を唱えると 魔方陣は金色に光り輝き始め それがあたりを包むと周りのものが全て蒸発するように消えていった

空からはファラムの戦艦と兵士たちがゴミのようにふりそそぎ それも炎に包まれては塵となり消えていった

国王ガラシュトウはその光景を見て涙を流していた

「悲しい・・何と悲しいのだ 人と人が争うのは 二度とこのようなことは起こしてはならない 全銀河の神々よ すべての銀河の人々に救済を!!」

そういうと国王の体は空に溶けていった

同じくオズロックの妹の体も消滅しようとしていた

「さようなら お兄様 イクサルが永遠に続きますように・・・」

妹の体は光の帯となり オズロックたちの船を包み込むと そのまま 星外まで船を運び出したのだった

http://www.youtube.com/watch?v=ps0_QRzlp9k

#Inazuma Eleven GO: Galaxy#イクサルフリート#ルーザ・ドノルゼン

2014-03-11 14:27:27 +0000