とある森の奥、狐と白い鳥とが集まる社在り。
社には桜が咲き誇る。神主は狐。その伴侶もまた狐。
鳥と戯れ、狐と駆け回り、舞い踊る桜の花弁にじゃれ付く狐の姿在り。
その狐には、ひどく臆病な姉が一人居た。人の心の恐ろしさと知れてしまうことの恐ろしさに怯える姉。
逆しまのごとく、弟狐は底抜けに明るく育った。騒がしく明るいのでは無し。
黙し、ただただ笑みを称え、愛し愛しと心に歌い続ける明るい狐であった。
いつからか目を隠し、顔を隠し、家族を社を鳥を狐を自然を全てを、ただただ愛しと謳い父の放浪癖を受け継ぎ旅に出た。
半妖狐の神主と元神使の狐の間に生まれる。両親の血を継ぎほぼ狐の妖怪だが、隔世遺伝か布絡みとサトリの性質が出た。
幼き頃、夜霧は父母のやりとりに疑問をもっていた。父は家族を愛していないのか母は父を愛していないのか。
されどそんな疑問はサトリの血が目覚めると同時にすっかり解消した。それ以来というもの、あらゆる心の複雑さを愛している。
目に映るものより心を純粋に愛してゆこうと決めてから布を頭部に巻きつけ目を隠し、顔を隠した。
この“顔を隠している布”は自分の意思で手足のごとく自由に操れる。無意識に動くこともあるので手足と言うより尻尾に近いやも。
何故かは分からないが、生まれつき右耳が無い。父親はソレを自分の罪が故だろうと呟いたそうだが、定かではない。
仕事についている姉のことをとてもとても心配している。
放浪はするが社にはよく帰ってきており、さながら止まり木のようになりながら白い鳥たちと話をしている。
毛並みはほんのり桃色をしているが目立つほどではない。桜花の色に似ている。
顔立ちは父そっくり。
名前:夜霧
年齢:人間換算で21歳ほど
種族:半妖
(天狐、空狐、人間、雀、布絡み、化狸、煙々羅、橋姫、獄卒、覚、河童)
身長:176cm
好き:自然、狐、鳥、家族、社、ぜんぶ
嫌い:さぁなんだろうね?(と笑う)
一人称:ぼく
■良縁を頂きました。
桐島 花籠さん【illust/43233201】
木漏れ日の下で鳥と語らう徒然に、ソレはふっと舞い込んだ。ひらりと舞い込む花びらのようだった。
口元を隠す少女は愛らしく、木々の声を聞いて辿ってきたようだった。
「やぁ、こんにちはお嬢さん」
大好きな、自然の色、木々の青々した葉のような色をした、少女だったことを
狐が知るのはずっとずっと後のことでした。
「ぼくは黒子では無いよ。この布は、目に惑わないためなんだ。君は黒子を目指してるんだね」
「君が喋らなくっても分かるとも、サトリの血が入っているから」
(不思議だね)
「君の心の色を、僕はよく知っている。君の心の様を声を、ぼくはよく知っている」
(見たって気持ちは変わらない、見る必要なんてどこにもないけど)
「きっと、花籠の気持ちとぼくの気持ちは同じなんだと思うんだ。なんて、」
(ほんのひとめだけ、君の姿を見たい、なんて、)
「思い上がりでなければ、これは、それは、きっと恋心だ」
(ああ、なんて、大好きな自然の色の、君だろう)
「勘違いでないのなら、僕と君は、互いに焦がれてる。だからそう、おそれず言えるよ」
「ぼくは君が、一番大好きだよ、花籠。」
■家族
父:虚【illust/42956804】
「父さまが家族を“そう”であるように、僕も“そう”だ。でも、たまには母さまに言葉で言っても良いんじゃない?」
母:霞さん【illust/43046150】
「父さま、もっと母さまに素直になれたら良いのにね。母さまもだけれど。」
姉:榊原吹雪【illust/43232200】
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。でも、姉さまはとってもキレイだから、仕方ないね。」
2014-05-09 07:32:22 +0000