倒せど倒せど現れ続ける屍人形にじりじりと圧されながら、二人は背中合わせで呻く。
「どうする葬列の。あまり芳しくないぞ、これは」
「……最悪、ここは俺が受け持つ。だからその間に琥珀防衛隊の援軍を――」
と、ラズルカがそう言いかけた、その時。
「おやおや、随分なザマじゃのうラズルカ」
そんな声とともに突然ラズルカの頭上で焔が弾け――次の瞬間。彼の上から一人の少女が『落ちて』きた。
「……戦闘中に散歩か。いい身分だな」
「うむ、なにせ団長様じゃからの。……にしても」
ラズルカを下敷きにしたまま彼女――マチヤは悠然と周囲を見回して、やがて屍を率いる男に視線を向けると少しだけ、懐かしげな顔になる。
「無粋な屍細工が転がっておると思えばうぬじゃったか。久しぶりよの、屍繰り」
その言葉掛けに、屍繰りと呼ばれた男の方も、
「は、生きてたのかよ【片角】。……裏切ったって聞いたから、てっきりくたばったかと思ってたぜ」
と、凄惨な笑みを絶やさぬままにそう返す。
「てめえが出てきたってことは、そこの面白ユカイな燃えカスはてめえのオモチャか」
「オモチャではない、大切な宝物じゃよ。……だから、こうして出てきたのさ。うぬを退かせにな」
「俺を退かせる? 面白いこと言うじゃねえか、【片角】」
鼻で笑う男に、マチヤはすっと目を細めて、
「我らは露払いじゃからな、もう間もなくここにもエンバーランドの主力陣が来よう。そうなれば、いくらその趣味の悪い屍人形があろうと分が悪いと思うぞ?」
その言葉に男の表情が少しだけ、変わる。
「……分が悪い、ねぇ。賢明な俺様としちゃあ乗りたくなる提案だが――単なるハッタリって可能性も否定は出来ねぇよなぁ?」
「なぁに、信じるも信じないも、うぬ次第という奴よ」
◆
「……おいクレマチヤ。いい加減そこをどけ」「やだ」「何だこいつら……」
◆そんなこんなで、時系列的にはこちら【illust/42200398】の後のほう的な。スルー継続お好みで宜しくお願いします。例によって色々とパラレルって頂ければ幸いです。
◆お借りしました:勝手に旧知にさせて頂きました、問題等ありましたらご一報下さい屍繰りのザインさん【illust/41950452】 マクシムさん【illust/41875631】 自キャラ:【illust/41858069】【illust/41858019】
2014-03-15 05:59:04 +0000