谷底に姿を現した巨大な屍人形。腐臭を撒き散らして行軍するその後ろで、不遜な笑みを浮かべる男が一人。
「よう、くたばり損ない共。随分と調子に乗ってくれてるみてえだがここで終わりだ。劣等種は劣等種らしく――頭を垂れろ」
腕がもげ、足が崩れようともその動きを止めない屍人形の姿にシャベルを構えた男はその仏頂面を険しくし、背を預けた桃色の髪の騎士におもむろに告げる。
「これではキリがない。……済まないが琥珀の、少しだけ踏ん張ってくれ」
騎士はその言葉に一瞬面食らった顔になり、しかしすぐに頷くと、手に握った大鎌を構え直して応じる。
「……こいつの首を落とすのは少々難儀だ。任せた」
「恩に着る」
短い応答の後、シャベルの男は大きく後退ったかと思うと――次の瞬間。
彼はなんと崖面に括りつけられた棺たちを足掛かりに崖面を駆け上がり、一気に屍人形の頭上に踊り出た。
一切の躊躇いもないその動き。それを見てしかし敵軍の男は驚くどころか心底愉快そうに口を歪ませ、
「おうおう、屍体が棺桶踏みつけていいのかよ? てめぇらの大切なおうちだろう?」
その問に、
「こんなもの――所詮、ただの匣だ」
答えた男の手元で、焔がおぞましく煌めいた。
◆そんなわけでこちら【illust/42109846】で共闘させて頂いていたのでついでにエンカウント。とりあえず色々とパラレルでお願いします。ちなみに脳内マップ設定はこんなん【illust/42094683】です。
◆お借りしました:マクシムさん【illust/41875631】 屍繰りのザインさん【illust/41950452】/自キャラ:【illust/41858069】
2014-03-12 03:12:39 +0000