盗む・持ち出す・かっぱらう、何でもOK!
「フツだよ。フツ。普通じゃねぇ!」
フツ(布都)/男より/人間時:175センチ・短剣時:25センチ
装飾性の高い短剣。
元々はキルト【illust/42022901】と同じ世界で作られた短剣で、彼の荷物に入っていた代物。
本当なら、話しかける気すらもなかったが、意思持ちだとばれてしまう。
持ち主の魔力を底上げ(2LvUP)したり、雷・炎系の魔法を使えるようにする護身用の魔法剣。
元の世界で、ヴィアロの魔導書【illust/34120626】と呼ばれる魔法体系が込められたが、この世界でそれが通用するかは自身でもちょっと分からない。
作成されてからは50年以上たっているが、自我を貰ってからは20年前後くらいしか経ってないらしい。フツはキルトを「本当の意味で独りにしないため」に一緒に居るので、一人でも安心できたらそばを離れる予定。
キルトとちょっとギクシャクして、今は一人でふらふらしています。
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辺り(主にキルト)を気にしながら、フツはそろりそろりとボスとファナシアに近づいた。
「あんた達って、意思持ちの武器の集まりなんだよな?」
正確には、その武器の方々を管理したり、使い手との間を取り持ったりする会なのだが、フツの認識でも間違いとも言いきれない。
「俺も、その会の会員にしてもらえないか? まぁ、暫くはあいつと一緒にいてやるつもりだが、頃合いを見て完全なフリーになっていろんな使い手とコンビ組んでみたいんだ」
そもそもフツは、この世界で生まれた覚醒武器ではなく、キルトと共にこの世界へ渡ってきた異世界の覚醒武器。故郷とも呼べる世界を捨てる気満々の言葉に、ファナシアは小首をかしげて問いかける。
「キルト君と一緒に帰らなくていいんですか?」
「いいんだよ。別に」
「でも、貴方は元々キルト君のお姉さんのものだったんですよね?」
重ねて問われた質問に、フツがぐっと息を呑む雰囲気が伝わる。
「い、いいんだよ!!!」
顔を真っ赤にして叫び、そして、ふっと遠くを見るような目で呟く。
「どうせ、俺なんて1回も相手にされなかったしな……」
ボスとファナシアは、生暖かい笑みを浮かべフツを見やる。
(振られたんだな)
(ああ、振られたんですね)
その視線に気がついたのか、フツがばっと勢いよく振り返った。
「なんだよ、その顔!!」
「いや、なんでも」
「何でもありませんよ」
戦争が今にも始まりそうな昼下がり、ここだけはそんな事など忘れてしまいそうなほど長閑な空気が流れていた。
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◆武器覚醒の会【illust/41859314】
◆PFFK【illust/41854317】
2014-03-08 19:25:12 +0000