第4章は妖怪食堂からす【illust/41906132】での療養が終わり、異世界に興味があるという鎧術師カラスの話を聞きつけ、彼の元へ向かっています。
現在は武器オンチもどうにかしたいです。
キルト関連の戦場タグは気が向いた所に適当に付けてます。
「姉さん。今すぐ帰りたい」
「すみません。あの、ここはどこですか?」
キルト/男/身長:135センチ
エルランディアとは別の世界でマジックアイテムを売りながら姉と共に生活していた少年。
魔法の力は一切なく、いかなる魔法道具も発動させることができない。
その代わり、魔法が篭ったアイテムを作る能力がある。
過去姉が持っていたアイテムはもれなく持っている
【illust/34569968】【illust/35509544】
覚醒武器であるフツ【illust/42110049】の所持者(所有者でも使い手でもない)
既知・モブ・流血ご自由にどうぞ!
◆
<以下PFNWでの内容が入ります>
長い冒険も終わり、結局大陸は元の世界に戻ることはなかったが、そのこと自体はキルティにとってさしたる事ではなかった。
この冒険で経験した出来事、出会った人々、その全てが素晴らしく、その体験ができた事は何にも変えがたい思い出となった。
キルティは自分が店を出ている間、ずっと一人で店番を引き受けてくれた弟が待つ我が家へと急ぐ。
二人っきりの大切な家族なのに、一人にしてきてしまったことを今更ながらやっぱり後悔する。無理にでも連れ出せばよかったと。
一緒に行こうと誘ったとき、あの弟は、誰が店番するの? と、キルティの誘いを断った。
確かに、誰も店に居なくなることは気が引けて、二の句を続けられないでいると、弟はふわっと笑って、計算が苦手な姉さんが店に残るより、僕が残った方が合理的。みたいな事を口にして、さっさと店の奥に戻ってしまったのだ。
あの子が出不精だというのは、重々分かっていたけれど、そんな風に言うなんて。
新たな冒険へと赴こうにも、今までのように新大陸を理由にはできない。
そんな思いをひそかに抱きつつ、店に戻って、いつもの日常が戻って、お土産話も話しつくして、そんなことがあったなんて忘れかけたころ、世界間移動の技術が確立したことを知る。
「ねえ、キルト。このままじゃやっぱりダメだと思うの」
キルティは徐に切り出す。
新しい商業ルートの開拓でも、顧客の獲得でも何でもいい。キルトにも冒険をしてもらいたい。新しい発見、新しい友達、何でもいい。自分が経験したようなワクワクをキルトにも体験してもらいたい。
「でも姉さん。誰が店の切り盛りするの? 姉さんは計算が苦手でしょう?」
同じセリフにぐっと言葉が詰まるが、今回は前とは違う。
「計算は苦手だけれど、出来ないわけじゃないわ。キルトだって、ショールを作らないけれど、作れないわけではないでしょう?」
そう。キルトは、キルティに方がいいものが作れると勝手に決め付けて、自分からマジックアイテムの制作を止めてしまったのだ。
もう一度。何よりも、もう一度、キルトも作る喜びを思い出して欲しい。
そして、あの冒険で味わった感動を、キルトにも。
「キルトは家に篭りすぎだわ! そうね、遠くのところまでこれを売ってきて! できるまでお家には入れてあげないから!」
「え? そんな姉さん。なんで突然!」
「前から思ってたの! でも、助けて欲しかったら、助けてってちゃんと言って? わたしじゃなくても、きっとちゃんと助けてくれる」
わたしを皆が助けてくれたように。
キルトにできたばかりのショールやケープ、アイテムが入った鞄を押し付けて、店から追い出す。
扉の向こうで、叩く音がしたけれど、キルティはガチャリと扉の鍵を閉めた。
強引だって分かってる。けれど、こうでもしなければキルトは一生店に閉じこもったまま出ようとしなかっただろう。
たった一人の弟で、家族。
心配じゃないって言ったら嘘になる。
けれど―――
それ以上に、きっと楽しい事があるはずだから。
******
キルトは、鍵を閉められた扉を前に、扉を叩く手を止める。
姉に、店を追い出された。
確かに自分は出不精で、姉の誘いも以前断ったことがあるが、それは本当に合理的な部分でそうだと判断しただけで、本当に他意は……というのは建前で、店から出たくなかったというのは本当。
新大陸開拓にちょこちょこと出かけていった姉が持って返ってくる土産話はとても面白かったけれど、自分自身がそこに身をおこうなんて気は欠片も沸かなかった。
しかし、とりあえず、姉から押し付けられたこの品物を売り切らなければ、家には入れてもらえないらしい。
こうとなったら、姉は少々頑固なところがある。別に遠くへ行かなくなって品物は売ることができるのだからと、キルトは町の中を歩き出した。
けれど、それがなぜか全然売れない。もう姉の息でもかかっているのだろうか。
キルトは仕方なく、遠方へと足を運んでみることにした。
確かに世界は、姉が言うように、広くて綺麗だ。
けれど―――
何かに巻き込まれ、目を開けたときには、見たこともない場所に飛ばされていた。
◆
PFNWのキルティ【illust/34326374】の弟
◆PFFK illust/41854317
2014-03-04 15:14:45 +0000