信奉者【illust/35195764】の中にごく少数存在する、「知を食らう闇」との融合実験の犠牲者。
体内に「樹海の扇動者」の細胞を植え付けられており、扇動者の力を用いて面に封じられた「知を食らう闇」の力を動的に制御、襲い掛かってくる。
その姿は「記憶の階層」で冒険者達の前に立ちふさがる「求道者の腹心・ヘイズ」と特徴を共有している。
ヘイズに比べればはるかに脆弱ではあるものの、その危険度は只の人間である信奉者とは比べ物にならない。
獣の敏捷性と強力な毒性を持った体液、そして人の知性を兼ね備えた難敵である。
※以下やまいぬの個人的妄想です※
『求道者によって「知を食らう闇」の制御法が開発されていた事は知っているな?
ではその方法がいかなる物か知っているかね。
一つは廻国の符呪術を応用して限定条件下以外では休眠状態にしておき、所持者が秘密を守る必要が生じた際その記憶を食らうように設定された「信奉者」の面だ。
だが彼らはそれだけでは足りないと考えたのだろう。
「知を食らう闇」を取り込み、その内包する膨大な情報を戦闘に活かす方法を模索していたようなのだ。
「知を食らう闇」は不定形な部分こそあれ、れっきとした生命体。
そして生命体を支配し、行動を操る生物を君たちはすでに新大陸で見ているはずだ。
…そうだ。求道者は「樹海の扇動者」を利用する事を思いついていたようなのだ。
樹海の扇動者の一部を人体に移植し、その力を操る事で種子を植えつけた「知を食らう闇」を制御下に置く…まさに狂気の沙汰だ。
そもそも毒性が非常に高いだけでなく、植物と動物の中間的存在である樹海の扇動者は人間とは大幅に異なる生態を持っている。
普通に考えればその細胞を融合させるなど不可能だ。
この遺跡に入ってから幾度か遭遇した、求道者のスパイの中に紛れている実験体を見てもそれはわかる。
…だが彼らはひとつの可能性に気づいたのだ。
ハイロンドに生息する「黒樹族」という人種の事を知っているかね?
彼らは妖精族に近い種族であり、また植物との親和性が非常に高い。
多くの実験体を犠牲にしたようだが、求道者は黒樹族の青年を掌中に収めた事でひとつの完成形を作り上げる事に成功したのだ。
それが求道者の腹心、ヘイズ。
我らの前に立ちふさがったあのバケモノだ。
あれの真の恐ろしさは、攻撃力でも敏捷性でも体に持った毒性でもない。
太古より営々と蓄え続けられた、生物の「知恵」そのものだ。
獣のような姿に惑わされてはいかん。もっとも狡知に長けた、もっとも老獪なる一個の軍を相手にしていると心得る事だ』
2013-04-29 12:14:01 +0000