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マリア「さてマーヤさん」
マーヤ「なんですか、突然」
マーヤの入院から6日、透析も無事最後の一回が終了し、明日にも退院出来るというとき。マリアは珍しく軍服を着て病室を訪れていた。
マリア「簡単に言うとさ、透析終わったから、明日にも退院出来るんだけど」
マーヤ「うん、先生にもそう言われた」
マリア「わたしが日本に行くことになってるのよね」
マーヤ「この前電話してたよね」
マリア「⋯どうする?一緒に行く?」
マーヤ「どうする?って言ったって⋯」
マーヤは苦笑する。確かに前回は、一週間寝ていたためにリハビリをしてから帰国したのだが、今回は何人かの女の子たちがいるため、リハビリはアルジェの病院に任せたのだ。
マーヤ「マリー、結論から話して」
マリア「一緒に、日本、行ってみる?」
とんでもないことを言い出した。マーヤはあくまでもここ(南フランス)が良いのであって、別に日本に行きたいとは思ってはいない。
マーヤ「今の状態で行っても、憧れもないし。第一、フィアンセさんと行くんでしょ?あたしは人の恋路を邪魔するほど馬鹿じゃないと思ってるし」
マリア「そか」
マーヤ「⋯だーいじょーぶだってマリー。アルジェ帰るだけだし。攫われたの二回目だけどさ、もうそうそうは無いでしょう?」
マリア「そうなんだけどさ。一つ教えて。⋯マーヤ、貴女がここ(南フランス)に来たいのはこの前聞いたけどさ」
マーヤ「うん」
マリア「ココで、何をしたいの?」
マリアはじっと彼女の眼を見つめる。
マーヤ「⋯実のところ、その辺は全然決まって無いんだ。単純にさ、アフリカにいたくないから、ってのが、理由って言えば理由かな」
マリア「じゃあ、ここに来て何をしたい、ってのは今の所理想は無いのね?」
マーヤ「所詮移民だからね、選択肢はそんなに無いと思う」
マーヤは力のない笑みを浮かべる。
マーヤ「ただ、マリーが教えてくれたように、学力は持ってて損はないだろうから、必死に勉強をしてるのは確かかな」
マリア「⋯じゃあ、留学したら、その時にこれからの事を考えたい、と」
マーヤ「そんな感じ」
それで行動にも理解が出来た。前回、勝手にフランスに渡って来た時は、娼館という生きるための場所があった、しかし前回の時に無くなってしまったことから、今回は素直に帰るしか、逆に選択肢は無くなっているというわけだ。
マリア「じゃあ、一つ。マーヤ、私の計画に乗ってみない?」
マーヤ「計画?」
マリア「この前来た時、娼館は無くなっちゃったでしょ」
マーヤ「うん」
マリア「あそこをね、ホテルにしようと思ってるの」
マーヤ「へぇ⋯。良い雰囲気だし、アリかも」
マリア「実は貴方にバイリンガルを勧めたのは、そこで働いてみない?ということを言いたくて」
そこまで話すと、マーヤの目が輝く。
マーヤ「なにそれ!?すっごくいい!!」
マリア「お高いホテルにしたくてさ、だから日本語を勉強して欲しかったのと、日本式のホテルにしたくて。今回、私が日本行くのも、そこら辺をもっかい見たかったのもあるのよ」
マーヤ「それで、一緒に、日本」
マリア「⋯もっかい聞くよ、私とにほ⋯」
マーヤ「パス」
最後までマリアが話す前に、マーヤは遮るように拒否。
マリア「ダメかぁ」
マーヤ「ただでさえ日本語の勉強で頭から火を噴きそうなのに、ホテルの勉強とか新しい情報入れられないし。まぁ、何のために勉強するかの目標がわかったから、それは嬉しかったけどさ。⋯マリー、あなたもフィアンセと楽しんでくるんでしょ?そっち優先したら?あたしはあたしで、やるべきことをやるわ」
マーヤの意思は固い。マリアは、そんな彼女の意思を尊重することにした。
マリア「わかったわ。⋯じゃあとりあえず、これだけ持ってて」
マリアは、ピエールから託された箱をマーヤに渡す。
マーヤ「⋯これは?」
マリア「国際電話。今度から、私との連絡はコレ使って」
マーヤ「いいの?」
マリア「この前の勉強の成果見せられたらね。それに、暗号通信出来るようになってるから、それ。だから、充電は必ず入ってるバッテリー経由でやってね。あと、家族にもこの機械持ってるのは知られないこと」
マーヤ「よくわからないけど、理解はしたわ。じゃあ、使わせてもらうから」
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2024-11-14 03:00:54 +0000