【心知】グレーヌ・デトワール【第1期】


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◆こちら【illust/117465106】の素敵な企画に、2家系目を失礼致します。よろしくお願いします!
(7/7)メッセージ拝受しております。ありがとうございました!

◆グレーヌ・デトワール 無性/32歳(見た目12歳)/暴風大陸
胸に大きな穴が空いた『心臓を失くしたエレメンタル』という妖精の一人。『先祖の心臓』を探して、大陸中を旅している。
他人にはツンケンした態度をとることが多いが、根は悪い奴ではない。むしろ本来は心配性で世話焼きなタイプ。自我の猶予が尽きつつある現在、一層"心臓探し"に精を出している。

◆種族『心臓を失くしたエレメンタル』
かつて暴風大陸にて心臓を失くした『エレメンタル』の子孫達。心臓を失くした影響で成長が阻害されており、また成体になる頃には自我を失ったモンスターと成り果てる。グレーヌの場合はあと十年程度の猶予。
これを回避するには『先祖の心臓』を見つけ出すか、他者の心臓を奪うしかない。他者の心臓を得ると遅れていた分の成長を取り戻し、心臓の持ち主の寿命や性別を得る。ただしこれはその個体だけの一時的なものであり、子孫には変わらず穴が空く可能性が残る。

◆素敵なご縁を頂きました!よろしくお願いいたします。
ガラ・ガラドさん【illust/118580608所属:鋼鉄大陸

そもそもこの身にぽっかり空いた穴自体、グレーヌ達は世界に見放されたのかと思ってしまうことがある。でも、それにしたって運が無かった。

まずその旅人は、後から思えば少し変な奴だった。重そうな荷物を抱えて、道案内を依頼してきた旅人。グレーヌは暇じゃないと答えたのに食い下がるから、仕方がないなと請け負った。ちゃんとした案内人も探せばすぐ見つかったはずなのに、わざわざグレーヌを選んだのは、足がつかないと思ったからかもしれない。
急げば夜になる前に次の町に到着するはずだった。なのにその旅人は、町に入る手前で見つけたボロい空き家で一晩過ごすなんて言い出したのだ。曰く手持ちがないからと。そんなことして野盗にでも遭ったらどうすんだってグレーヌは忠告したけど、結局そいつは頑固に譲らなかった。勝手にしろ!とその場を離れたのだけど、もしかしたら今晩の食料にも困っていたりするのかな……と、こっそり様子を見に戻ってみた。

……そこで出会ったのが、"悪魔"だったんだ。

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心臓を見つけることもなく、ましてモンスターになることもなく、こんなところで死ぬのかと思った時に——むしろその方がいいのかもしれない、なんて頭をよぎった。
その瞬間"悪魔"は、少しだけその刃を収めたようで、グレーヌへ手を差し出した。自らが殺めた者の姿を指して、こうなりたくなければ共に来いと。

"悪魔"はガラと名乗り、連れられた先は別の大陸の白い建物だった。鋼鉄大陸の、郵便屋らしい。最初は、は?と思ったけど、言われてみれば確かに、彼女は配達員のような格好をしている。恐い殺人者としか思わなかったから気づかなかった。
なんだよ脅かしやがって、と内心毒づくと、それを察したかのように釘を刺された。表向き郵便屋を開いているものの、裏の顔はきちんと実績ある暗殺稼業だという。
つまりグレーヌくらいどうとでも出来るんだってこと。やっぱり最初から逃げておけばよかった……でも多分この人には勝てないから、そしたらグレーヌは今頃息もしてなかったんだろうなとか。考えるほど憂鬱だ。これからどうなるんだろう。

ガラから与えられた仕事は、暴風大陸の各地へ向かって手紙を届けることだった。そうして組織に従順である限りは、一応グレーヌの安全は保証するつもりらしい。

「グレーヌはそんなことしてる場合じゃないんだけど」
「グレーヌはあの大陸のことならよく知ってるんだ。良いバイトを見つけて、ガラは運がいいよね!」

遠回しに嫌味も込めたが、相手は笑顔でそうだねぇ、なんて返してくるから拍子抜け。グレーヌを脅してきたくせに、普段はそんな"悪魔"の一面をすっかり隠して、のんびりした女性の姿をしている。

実際、真面目に仕事に励んでいる限り、ガラも他の従業員も、グレーヌの立場について何か言ったりしなかった。むしろガラ以外の子達からはなんとなく、遠巻きにされているような気もする。
大きな組織ってわけじゃない上、グレーヌ以外は同じ種族の女の人ばっかだから?それが仲間意識ってやつなのかな。ずっと一人でいるグレーヌには、よくわかんないけど。

あんな反応をされると、グレーヌもなんとなく絡みづらいじゃん……別に、仲良くする必要もないけどね!配達のバイトなんてやってらんないよ。グレーヌには時間がないんだから、いつか隙を見て逃げてやるんだ。

何があったって、グレーヌのやるべきことは変わらない。どうせ滅ぶ身ならと一瞬でも思ってしまったのが情けない。グレーヌは見つけ出さなきゃいけないんだ。
グレーヌ達が唯一救われるための『先祖の心臓』を。

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左手の指先が、黒く染まっている。嘘だ嘘だ嘘……呟きながら洗面台に駆け寄り、水にさらして石鹸で洗って、でも全然薄まりやしない。顔を上げて鏡に映ったグレーヌはすごく情けない顔をしていて……よく見ると、右目の上の額にも、指先と同じような黒い染みが滲んでいた。
「どうしよう、どうしよう……ガラ!ガラはどこ!?早く来てよ!——グレーヌを助けてよ!」

全文→【novel/22441228


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2024-05-12 05:42:33 +0000