京浜急行電鉄1000形(Ⅱ):
2002年より営業運転を開始した通勤型電車で、快特用として好評を博していた2100形(illust/111644670)の3扉・ロングシート版といえる車輌。
そのため1次車は電装品なども含めて2100形と同様のメカニズムを採用しており、制御装置もシーメンス(Siemens)製のものを搭載した。
なお、本形式の登場当時は初代1000形も現役であったため、区別のため本形式は新1000形と呼称されていた。
もっとも、旧1000形は本形式による置き換えの対象であったために、「1000形が1000形を置き換える」という現象が発生している。
車体はアルミ合金製、塗装は京急のコーポレートカラーであるバーミリオンとホワイトのツートンで、窓周りを白で塗装したスタイリングである。
内装は暖色系を採用し、温かみのある親しみやすい空間を目指しており、扉間は脚台をなくした片持ち式ロングシート、車端部が補助いす付きのクロスシートとなっている。
本形式では、8両編成1本と4両編成1本を3M3Tの6両編成2本に組み替えられる機器構成とされ、4両編成の付随車浦賀方には編成替時の増設用にパンタグラフの準備工事がなされている。
2003年登場の2次車からは、種別・行先表示器が白地に黒文字となり、ローマ字表記が加わった他、扉間の側窓は大型の1枚ガラスになり、色はサンユーログレーに変更するなどの変更がされた。
2005年登場の3次車では、大規模な仕様変更が行われており、雨天時に、車輪の多少の空転・滑走を許容する制御をおこなっていたため、乗り心地が低下していたことへの対策として編成構成を8両編成では4M4Tから6M2Tへ、4両編成は2M2Tから3M1Tに変更、制御素子をGTO素子からIGBT素子へとなるなどの変更がされている。
さらに同年に登場した4次車、2006年に登場した5次車からは、種別表示にフルカラーLED、行先表示に白色LEDが本格採用された。
本形式において、特別塗装・ラッピングが施されている。
2次車の8両編成2本は2004年12月1日の羽田空港第2ターミナル開業を記念してスカイブルーをベースとするラッピングが施され、2005年3月まで運転された。
1057編成は2014年5月1日から京急の電動貨車の塗装をイメージした黄色塗装に変更され、「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」(京急イエローハッピートレイン)として運行開始した。
当初は3年間の運行予定であったが、好評のため運行開始から3年が経過する2017年5月以降も運行が継続されることになった。
同年には塗装がマイナーチェンジされ、従来は銀色だった乗降扉部分も黄色に変更され、車体側面全体が黄色の塗装となった。
2017年度より、製造から15年程度経過した1次車への車体更新工事・機器更新工事が開始され、1次車の1001編成が最初に車体更新が施工された。
主な工事内容として、室内化粧板、天井、床敷物、客用ドア、連結面貫通扉を新品に取り替えており、車内袖仕切り板をガラス入り大型品に、座席周りの握り棒を曲線形状のものに取り替え、先頭車の車椅子スペース部壁面に非常ハシゴと消火器を格納、室内灯を蛍光灯から直管形LED照明に更新、固定式側窓のうち、各連結面寄りの窓を一段下降窓に、先頭車乗務員室後ドア間の窓を二段窓の開閉可能な仕様へ取り替えが行われており、このため、屋根上の排気扇と床下の排気扇用インバータを撤去された。
各ドア上部の車内案内表示器はLEDスクロール表示式から液晶モニター式(LCD)に交換され、1001編成ではVVVFインバータ制御装置を三菱電機製のフルSiC素子を使用したMAP-194-15V296形に更新(1C4M制御)が行われているなどの変更がされている。
また、2100形の車体更新工事と同様に車両の前面非常口部分に「けいきゅん」のステッカーを貼り付けられている。
その後の更新工事が実施された1009編成以降は機器更新時には2100形の機器更新で採用された東洋電機製造のIGBT-VVVFインバータを採用している。
ところが、1000形1001編成が更新工事を施された結果、都営浅草線・京成線に直通できなくなってしまっており、その後2019年に更新工事が実施された1009編成は都営浅草線・京成線に直通できている状態となっている。なお、2023年には1001編成がようやく直通が解禁された様子。
ここまでは5次車まで製造されたアルミ車両について解説したが、次は6次車から製造されたステンレス車両について解説する。(illust/111690079)
2023-09-12 10:48:38 +0000