競技が始まってからコーチングの補助を受け、何かいい教材になるものはないかと走り回っていたところ
丁度目の前に菫色の鉢巻きを巻いた草猫の少年が己が手に雷を纏い気合を入れている姿が見える。
「ほぉ…面白い特性を持った方がいますね」
「そない面白いん?」
その姿にメテオライトはもしやと一つの特性を思い出して、ほぅと唸る
様々なタイプの入り混じるバトルロワイアルの中でそのタイプを選ぶとは、中々の有識者…背格好を見るにまだ学生だと思われる草猫を見ながらなんとも面白いとついネックウォーマーで隠してる大きな口の端が吊り上がりそうになる。
そんな頭の上から現在臨時の生徒のマトイが何が何がと興味深々にかけられる声に講師としての思考が戻る。
「そうですね、変幻自在と言って使った技のタイプに一度だけ変化する特性です。ではマトイお嬢さん問題です、あの方は今何タイプになっていると思いますか?」
「え、何っスか急に…?」
突然目の前に現れたと思ったら、また突然問題を出し始める二匹のやりとりに呆気にとられる草猫の少年。
今は最終種目のバトルロワイアル、周りを見ればどこかしらでも技が飛び交う中でどうしてこう呑気でいられるのかと相手の空気の違いに変な汗が流れそうになる。
「うーん……?」
「まだ技の余韻が残っている手をよく見るとわかりますよ」
そう言ってスっとメテオライトは少年の雷の残る手を指さす。
ああ、この会話のやりとりから既に見抜かれている、少年はそれだけで理解した。頭に乗せている糸玉はなんてことはない、しかしその下の帽子の影から覗く宝石を持った相手は油断ならない、と…
「あ!パチパチしとる!電気タイプや!」
「正解です」
「いやだから何やってんスか…?戦わなねぇの?」
マトイが言い当てたことに軽い拍手を送るメテオライト、変わらない空気に押されまいと少年はぐっ拳を握り直す。消えかけていた雷がまた戻ってくる。
「おっと失礼しました、ただいま臨時の講師をしておりまして見ての通り生徒が居りますので……」
その様子を見たメテオライトはふむっと一瞬だけ考えたと思うと、その重い服装からできるとは思えない跳躍をして見せる。頭の上からわぁっと間の抜けた声が聞こえたがすぐにグッと帽子にしがみつく力が入ったのが分かった。
自分も両の手に力を込める、そして音の響きやすい形にした手のひらを少年の目の前で勢いよくぶつけ合わせた。
―猫騙し―
「ッ⁉」
突然のことに少年は体が硬直しピアスで飾られた耳がペタリと畳まれる。それがこの技の効果である。
「今はこれにて失礼しますね」
「わぁ今何したんメテオ先生?」
「今のはねこだましという技でして――」
そのまま少年の飛び越え背後に着地したメテオライトは帽子の鍔を持ち軽く頭を下げて次の教材を探しに向かう。
マトイは先程の技を知らなかったのか、教えて欲しそうにわくわくと声を上げて聞いていた。
硬直が解けて振り返りその後ろ姿を見ながらなんとも最初から最後まで変わらない空気になんだか調子が狂いそうになる少年は一つ溜息を零した。
「……マジでなんだったんだよあれ…授業とか意味わかんねぇ………てかなーんかどっかで見たことあんだよなぁ…」
ご飯の時に適当に流していたTVだったけ?それとも動画サイトで適当な動画を見てた時だっけ?
技が放たれる一瞬で見えた宝石の瞳を少年はどこで見たかと記憶を掘り返していた。
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流れ的にはこちらillust/109039324から後にこちらのillust/108932104のフジくんが特性でタイプを変えたところを通り過ぎたイメージです…!
技だけじゃなくて特性の説明も詳しくしてくれたらいいなぁという妄想……それと説明だけだとつまらないからたまに問題形式にして飽きないような工夫とかしてくれたりするのかなぁ……っという妄想です!!
授業の通りすがりでフジくんごめんなさい!
都合が悪ければパラレルスルーで構いません。
■お借りしました!
フジくんillust/108555835
┗普段のお姿illust/106741993
メテオ先生illust/108494938
┗普段のお姿illust/107384386
🍅illust/108500736
使用技、持ち物の記載はこちらillust/109022944
2023-06-17 16:11:16 +0000