熱い―――。
手をついた壁が、地面が、火傷をするように熱い。
都市を焼く炎によって熱せられた空気が、肺に流れ込んできて息が苦しい。
それでも一人の幼い命を救うために、アンデッドやモンスターが跳梁跋扈する都を無尽に走る。
足を止めれば、すぐにそこら中にいる怪物達に囲まれる。
腕に抱えたこの子を救うためには戦ってはいられない。
ただ全力で駆ける事だけに集中する。
火炎による轟音、怪物たちの呻き声、建物が崩落する音、
遠くでは魔法が炸裂する音も聞こえる。
どこかで竜のような咆哮が空を切り裂いているのが耳に入る。
重厚な金属が擦れる音が執拗に追いかけてきているのも確認できる。
おそらく不意に遭遇した例の連中だ。あんな量、相手になんかしていられない。
普段であればここまで聞き分けられないが、今は不思議と感覚が冴えている。
そんな地獄の様な場所で確かに聞こえた。
「こちらへ来い!!」
ニナは力強い声の方へ、路地裏へ、迷う事も無く飛び込んだ―――――。
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■キャラクターをお借りいたしました。
ミツキ さん【illust/101983657】
千代 さん【illust/102077207】
クニリト さん【illust/101995316】
ミトゥン さん【illust/102077338】
ミトゥン さん(三章~四章のすがた)【illust/103275412】
ユナ さん【illust/102190055】
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■自キャラ
ニナ【illust/101966187】
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◇キャプションは適宜修正いたします
◆参加企画◆
pixivファンタジア Scepter of Zeraldia【illust/101965643】
2022-12-24 07:20:26 +0000