pixivファンタジア Scepter of Zeraldia【illust/101965643】
最終章『ゼラルディアの王笏』【illust/103584939】
オットー兄妹の最終章ログインです。
◆行動方針
オットーテクノアーツの子供たちは避難させ、王都にて救護活動・避難誘導をしています。(治療道具はアビーの『格納病棟』(=一時的に人や物を収容できる収納魔法)【illust/103154817】に常備してあるため、いつでも出し入れできるようになっています)
軽傷者には、その場で出来る治療・応急処置を、重傷者には、その場での治療もしますが、適切な治療が受けられる場所まで命が持つように応急処置がメイン。(一瞬で元通りになるような高度な回復魔法は使えないため)
自分で動ける人に対しては、緊急時の避難所となるファタリテート大聖堂【illust/102087872】に避難するように促します。応急処置をした怪我人を運ぶように指示したりするかもしれません。
自分で動けない怪我人はアビーの『格納病棟』(=一時的に人や物を収容できる収納魔法)【illust/103154817】に収容し、大聖堂へ搬送します。
また、ニーナ【同上】を使って崩れた建物からヒトを救助をしたり、魔物を蹴散らしたりします。
―――――
今は聖夏祭の最中のはずだった。誰もかれもがこのゼラルディアの平和を享受し、思い思いに祭りを楽しんでいた。
しかしである。
祭りの喧騒と雑踏の中、突然あちこちから火の手が上がり、魔物が出現し、王都の大通りは阿鼻叫喚の巷と化した。
オットーテクノアーツの面々は何とか難を逃れ、大通りから離れた場所にいる。
「皆、無事ね? 避難するわよ」
アビーがともに避難してきた子供たちを見やる。
「了解です。ここからだとファタリテート大聖堂が一番安全ですよね? そこに避難しましょう」
「ファルメディクの人達とかもいるはずだから私たちにお手伝いできることもあるはずよね」
「さっき転んで怪我したし、火の粉被ったけど大丈夫だぜ、アビー先生」
「やっぱり嫌な感じがしてたんだよ」
「ルチア、聖堂に着くまで絶対手を離すな」
「うん。さっき怪我してた人がいたけどアビー先生は助けに行かないの?」
目の前の異常事態に皆案外落ち着いているように見える。
――わけがわかんないことが起きた時こそ焦燥に流されてはいけないよ。
――落ち着いてその時自分が何をするのが最善か、考えてみようか。
ギャビーに日頃から急患の搬送や手術道具を渡す助手をさせられて、そう教えられているからだろうか。
それとも、あまりに突然の事に心がついて行かないだけだろうか。
「あれ? ギャビー先生がいない」
「……あのバカ……皆、よく聞いて――」
―――――
魔物が跋扈し、炎が逆巻く大通りは混乱の中にあったが、ギャビーはその渦中へ迷いなく飛び込んだ。途中負傷者の応急手当をし、避難誘導中の教団の人間に託した後、再び大通りに戻る。
(助けなきゃ……)
近くで子供の泣く声が聞こえる。親ががれきの下敷きになってしまったようだ。
周囲を見回して泣き声の主を見つけると、すぐさまそこへと駆け寄る。下敷きになっている親らしき男は下半身が落下してきた瓦礫の下敷きになっているようだった。男は血が染み出してきたのを見てから、観念したかのように1人で逃げろ、と子供に言い聞かせていた。
「諦めるな! 今助ける!」
普段のへらへらした態度のギャビーしか知らない者から見れば驚くほどの剣幕であった。
瓦礫に挟まれた部位と瓦礫を素早く確認する。瓦礫をどかし、手早く止血するのに複数人助けがいる。
「もう足の感覚が無い……私はもうだめだ。あんたもこんな所にいたら助けられる人も助けられないだろう。この子を連れて早く」
「足の2本や3本僕が新しく作るさ。今は死なないでくれ」
助けを呼ばんと顔をあげた矢先、
「その人たぶん足2本しかないわよ。新しく無駄な1本つけないでちょうだい」
重い扉が開く音と共に、聞き慣れた声が聞こえた。
「来てくれると思ったよ、アビー。これでこの人は助けられるね」
「何笑ってるのよ。早くニーナを起こしてくれる?」
まだ目の前の男を救助できたわけでは無い。
それなのにこの男は。
自分が救われたかのような安堵の笑みを浮かべていた。
そして泣きじゃくっていた子供に顔を向ける。今度は安心させるように力強く笑って見せる。
「必ず、助けるから。運んでもらってる最中は声をかけ続けてあげてね」
―――――
手早く止血と応急処置を施したのち、親子を救助活動にあたっていた銀竜立華団に託した。
「子どもたちにはファタリテート大聖堂に避難して、救護の手伝いをするように言ったわ」
「それでいい。ありがとう」
「わざわざ聞くほどのことじゃないとは思うけれど、一応。
……私たちはどうする?」
「もちろん前線に行くよ。1人でも多くの怪我人を助けなきゃ……こういう時に僕らが動かなくてどうするのさ」
「そうね」
「縫合用にありったけの魔導繊維を出しておいて。
……行こう。一人でも多く、助けるんだ。」
―――――――
参考作品
・ファタリテート大聖堂【illust/102087872】【illust/103588601】
・ファルメディク治癒薬学協会【illust/101966521】、【illust/103591231】
→王都に住んでいるため、大聖堂が緊急時の避難所になることは知っているだろう……ということで利用させていただいています。
・バラル救命作戦【illust/103610634】
→銀竜立華団の方に応急措置の済んだ負傷者の搬送をお願いすると思います
※オットーテクノアーツの面々(1、3頁目)【illust/103586350】
※過去にツイッターに載せたニーナ(217号室のゴーレム)【illust/103154817】についての補足を2頁目に載せています。
■補足『魔導繊維』
ギャビーの死霊魔術と義肢の研究の成果の一つであるマジックアイテム。
限りなく生物に近い柔軟さと強度を持ち、魔力伝導効率を極限まで高めた繊維。元々皮膚の縫合に使い、魔力の伝導を効率化して、治癒術の効果を高める用途で作ったものであったが、それらを織ったり束ねたりすることでより強固な繊維や物体になる。
何か問題や解釈違いがあればご連絡ください。あるいはスルーでお願いします。
よろしくお願いします。
2022-12-22 15:00:56 +0000