昔、ゼラルディアから遠く離れた砂漠に忌み子と呼ばれる少年がいた。
月精と人間の血を引く女性と人間の男性の間に生まれた少年は、人間の身体に妖精の魔力を宿した歪な存在だった。
人間の身体を持つ為に妖精には受け入れられず、制御し切れない魔力で他者を狂わせる為、人間の中で生きることも出来ず。
少年の父と母は少年を連れて当てのない旅に出る。この世界のどこかに息子と静かに暮らせる地があると信じて。
旅は過酷だった。父は魔物から妻子を庇って命を落とし、母は妖精種の病に罹って息を引き取った。
少年は天涯孤独の身となったが、未熟な子供が独りで生きていけるほど世界は優しくなく。
「っ……痛……」
魔物の群れから逃げている最中に崖から滑落し、少年は大怪我を負う。
周囲には魔物の気配がするばかりで、人間の姿は全く見えない。
最早、万事休すか。絶望する少年の目の前に、ふと白い小さな光が現れる。
光は少年の周りを暫くふわふわと漂った後、蕾が花開くように花弁のようなものを生じさせ、ふわりと光の粉を振りまいた。
――少年は生き延びた。光は少年から滲み出る魔力を食らい、光の粉を生成して少年の傷を癒したのだ。
花状になったそれは少年が気を失っている間に頭部に根を下ろし、目が覚めた頃には顔にぼんやりと輝く緑色の根が浮き出ていた。
花が魔力を食らうお蔭か、意図せず他者を狂わせることがなくなったが、少年は旅を続けた。
幼い頃から旅に生きてきた少年にとって、旅が生活そのものだったからだ。
旅の中で少年は花の持つ癒しの力を、自身だけでなく他者を救う為にも使った。
嘗て他者を狂わせ傷つけていた自分が、人を救えるようになったことが心から嬉しかったのだ。
少年は青年となり、花も成長して多彩な治癒魔法を操るようになった。
花の力が増した為なのか、癒しの術を使う度消費する魔力は膨れ上がってゆく。
それでも青年は救うことをやめない。
求める者の救済――己を救った教義を実践する為に。
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生ける屍と戦いつつ一般人を救助してます。ドクターストップ掛かってますが治癒魔法もガンガン使います。
治癒魔法に関しては聖夏祭で購入【illust/103581296】した月騙し薬(満月)【illust/103318096】を服用した上で、常葉蔦のマジックポーション(魔力回復薬)【illust/102532769】を用法用量ガン無視でがぶ飲みしてなんとか使ってる状態です。
ドーピングと気力だけで動いてるので時折ふらついたり意識を失いそうになったりしてます。魔力を分け与えてもらえたら少し元気になるかもしれません。
MP常にほぼないのをエーテル割って生きてるような感じ【illust/102051688】
2022-12-21 21:20:39 +0000