魔女と永遠、恋と執着【illust/97238892 】※Rー15企画
大変遅くなりましたが、リコリスさん(リコ)【illust/99118134 】と共に生きていた頃の久遠周の補足になります。
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「よっ!調子はどうだ?」
Aimer Twilight(エメ•トワイライト)
22歳/男性/184cm
好きなもの:ある少女と老女の暮らしている家で過ごす時間
苦手なもの:家族の話を出される事
伯爵家の末子。
家族の事は誇りに思っているが、『トワイライト家の子』として認識されがち。いつか『エメ・トワイライト』として自分自身を見てもらえるよう、騎士として日々鍛錬に励んでいる。
上官など周りから可愛がられていたりするが、内心複雑。笑ってその場を誤魔化しやり過ごす事が多い。そういう自分を嫌に感じている。
末子という事や名前を気にしていたりとコンプレックスが多い。
父や兄達が吸う姿がちょっといいな……と思い、真似をして付き合い程度に喫煙する。が、噎せる事もしばしば……
家族達はリラックス、気分転換のためにと喫煙しているが、エメの場合むしろ真逆となっている。
ある少女と一緒に過ごしていく内に、自分のコンプレックスに対して引け目を感じなくなっていった。
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俺は自分の名前が嫌いだった。
兄さん達には立派な名前があって、俺に与えられた名前は『愛』という言葉。
俺は末子だから……
期待されてないような感じがして嫌だった。
だからといって『トワイライト伯爵の末子』という扱いも親父のおまけのようで嫌いだったから、俺は俺自身の力を見てもらえるように努力した。
*
俺は三男だけど家の役に立ちたい。
その思いで鍛練して、怪我をした俺を助けてくれたのが始まり。
……正確には、助けてくれたのは婆さんなんだけど。
その婆さんはリコリスという小さな女の子と暮らしていた。
リコは話し掛けても婆さんの後ろから顔を覗かせたり、周りを小動物みたくちょろちょろと動き回っていて……
俺は男兄弟の1番下だからわからないが、もしかしたら妹がいたらこんな感じだったのかもしれないな、と思った。
だからか、なんだか見ていて微笑ましくて癒された。
「近くまで来たから、つい、な。これは土産。
あっ、おい!慌ててコケるなよ!」
「おいおい、そこまで話したんだから言っちまえよ。
……まぁ、その薬が上手く作れた時にまた教えてくれよな。楽しみに待ってる。」
リコ達の暮らす家で過ごす時間は俺にとっては心安らぐ時間で、
いつもなら『トワイライト伯爵の末子』として扱われる俺が、ここでは『エメ・トワイライト』としていれる数少ない場所だった。
ここで過ごす時間がずっと続けばいいのに……
*
ある日婆さんが魔女だと言われ、連れて行かれたと耳にした。
そんな時、俺に結婚の話が回ってきた。
先方はこの辺りではそこそこ名の知れた名家で、家族も喜んでくれている。
俺は三男だから、そういう話もないと思っていたからとても嬉しかった。
はずだった。
俺自身を見ての話なのに、どうして……?
結婚したいか、と聞かれたらわからないが、傍にいたいと思える人ならいた。
婆さんを魔女狩りで亡くし、それでも懸命に生きるリコの傍にいたいと、支えたいと思った。
今までずっと家の役に立つ事だけを考えてた俺に何ができるか分からないけれど……
*
切られたはずの傷がない。
夢、とも疑ったが、周りからの視線が今までとは違う事が一瞬で見て取れた。
リコだったら、今の俺をどう思うだろう……?
ここにいる人達と同じ目を向けるだろうか?
それともいつも通り手当をしてくれるだろうか?
……いつも通り、何事も無かった様に手当をしてくれたらいいなぁ
*
それから俺はひたすらに誰も俺の事を知らない場所へ行きたいと思った。
あの時の周りの目が忘れられなくて……
俺は漸く好きになれたエメ・トワイライトの名前を捨て、色々な所を彷徨った。
ある時、風の噂でリコの事を耳にした。
最後に会ったリコにはこうなる事が分かっていたのかもしれない。
だからあの時の言葉はいつもとは違う、再会を願う言葉ではなかったのだろうか……
もし本当にリコが魔女だとしたら、『これ』はリコではない人の手を取ろうとした俺への呪いなのかもしれない……
︙
“運命の魔女”とやらが、ただただ時間を浪費するだけの毎日を過ごす俺に囁いた。
なんで、彼女はどうして貴方をそんな体にしてしまったんだろうね?と
そんなの決まって……
決まって……?
いや…どうして……?
もしリコが魔女だったとして、他人を呪ったりするだろうか……?
そんな訳……
俺とリコが一緒に過ごした時間は俺が生きてきた時間のほんの一時だったけれど、俺の知っているリコは引っ込み思案で、でも何事にも一生懸命で困っている人に手を差し伸べられる優しい子……
リコがそんな事するわけないと信じたい。
信じたい気持ちを後ろめたい記憶が邪魔をした……
それから俺は『どうして』を考えた。
こんな慣れない事長くは続かないだろうな、と思ったが、途中で言われた『面白い』が嬉しくて俺の独り善がりの物語を書き続けた。
それは久々の拒絶では無い眼差しだった。
*
書き続けたが、俺には最後が書けなかった。
俺はリコの事をどう思っていた……?
妹みたいな存在?
仲の良い女の子?
……
………
……………結婚したかった?
いいや、俺が知っている恋愛はもっと情熱的で……目を逸らしたくなるような……
とはいっても、それを知ったのはまだ『こう』なる前に騎士団にいた時に周りに勧められて読んだ、当時流行りの恋愛小説なのだけど……
考えて、考えて、考えて……
俺が生きてきた中で一番考えたけれど、俺には答えが解らなかった。
これを最後に俺はこの話を書くのをやめた。
⋮
運命の魔女とやら曰く、遠い未来にリコの生まれ変わりと出会う事になるとか、心を手にする事で苦悩が終わるとか言っていたが……
心を手にする……?
そんな事、できるだろうか……
自分の、リコへの気持ちすら、いまいち分からない俺に……
もし、この先そんな日が来たら……
俺はどうするんだろう……
そんな来るかも分からない日のことは、わからない。
でも……
もしこの先リコの生まれ変わりの子と本当に出会うとしたら、今度も前みたいに裕福な暮らしでなくても楽しく過ごしていたら、いいな……
例え心を手にすることができずとも、リコの生まれ変わりの子が幸せならばそれだけで……
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※時代考証や名前の言語などなどめちゃくちゃですが、目を瞑っていただけますと幸いです……
※3枚目はTwitterに上げた落書きになります。記念イラストはまた後日……
不備などございましたら、メッセージより教えていただけますと幸いです。
キャプション編集中……
2022-11-30 12:20:19 +0000