【ミル祝】晴神日華【第二期】

キオ
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❖ミルフォリアの祝福【illust/100314341
 今期も宜しくお願いします。

❖骸の花籠 晴神日華
 特色:金銭支援(一度限り)
❖今期代表:華守 - 梅天
 前期CS【illust/100906503
 男性 / 183cm / 享年27歳 / 黒の祝福
 一人称:俺 / 二人称:其処許、御身、名前呼び捨て
 ポイント:20pt

❖前期開花相手様:機骸都市国家ニグロマ アンバー・ソロモニカ様【illust/101172128
❖開花相手様今期:トレーべ・ソロモニカ様【illust/103585611
 「現状に怨嗟など毛頭ない。俺は彼を信じ利用したのだから。一石を投じてくれてむしろ感謝しているんだ。
  ……願わなくば、今は出会さぬことを祈る。久方ぶりに会った共犯者殿に刃を向けたくない」
 「せっかくヒューマノイドの技術をくれたのに、守りきれず壊されてしまった。それだけは本当に申し訳が立たないな」
 「梅の花を携えた媛は息災だろうか。神格が安定したら、彼の地へいずれまた……」


❖所属について
 所属につきましては、幽鬼が垂涎ものの善なる魂の媛様でしたらご自由にどうぞ!

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❖開花(11/13)
 繚乱の苑マグメリリティア ベラーナリア様【illust/102612654
 (友人 / 活気を歌う者)

 ──彼の庭園で、命を削る少女を見た。
 "あいどる"の"らいぶ"なる公演に、観衆は大いに湧き立ち、少女の奏でる世界の一人として場の空気は一体となっていた。
 壇上で歌う、紫苑色の少女。彼女の歌はある種の信服される力があると感じた。人々に活力を与えるものだ。
 俺では出来ないことを、彼女なら出来るかも知れない。その歌は、花籠に囚われ娯楽の乏しい媛たちに、活力と希望をくれるだろう。
 "らいぶ"が終わった少女の腕を掴んだのは、ほとんど衝動だった。

「心の活力を滾らせてやりたい者たちがいる。御身の歌で媛たちの助けになってほしい」

 不躾な申し出にも関わらず、少女は二つ返事で快諾してくれた。
 所属する機関の上層部とも掛け合い、花籠で定期公演をしてくれる運びとなり、久方ぶりに安堵の息をつけた。
 そういえば、少女は生気の乏しい俺を見て物怖じしなかった。可憐な見掛けだが、随分と豪胆なものだ。有難いことだが。

 ❖ ❖ ❖

 マグメリリティアの定期公演が開かれるようになると、娯楽に飢え消沈していた媛たちは忽ち息を吹き返した。
 "あいどる"たちは皆壇上で輝かしく歌い踊り楽しませてくれる。その中でも格段に歌唱力が高いのが紫苑の少女。
 少女──ベラーナリア殿とは打ち合わせで話す機会を得られているが、他の"あいどる"たちより距離感に壁がある。
 恐らく彼女の視力が低いか、または喪われているのが要因だろう。彼女は気付かれぬよう振る舞っていたが、壇上以外でも関わってしまったが故に気付いてしまった。
 誰にだって明かせぬものはあろう。俺とて悪人狩りという業を、この美しい少女に知られなくない。
 全てを明かさずとも手を取り合える。アンバー殿との出会いで学んだことだ。せめて花籠で歌ってくれている間は、俺が御身の目になろう。
 声をかけてから少し手に触れる。彼女の作る壁越しに、意思が伝わるように。

 ❖ ❖ ❖

 ベラーナリア殿と距離が縮まってきた頃、俺のために歌を歌ってくれると言ってくれた。
 以前喀血した現場を見られ、それ以来心配させてしまったのだろう。
 童謡でもなんでもいい、と。思い浮かばず脳裏に過った要望にも、歌姫は応えてくれる。

「──……」

 まだ限りある命出会った頃、お嬢様や親友と共に歌っていた歌。この立場になって見て見ぬふりをしていた過去。
 彼女の歌う童謡は、美しくも忌まわしいものにしてしまった生前を思い起こさせてくれた。
 愛していた人がいた。彼女を殺され、親友は心を病み、一時の憎悪に身を窶してしまった。その罪は今もなお業となりて我が身を苛む。
 媛たちを助けるのは罪滅ぼしのつもりだった。ああ、ただ楽になりたかっただけだ。過去から目を背けたまま、善行をして逃げようとした。
 思わず涙が溢れる。彼女の歌声が、心身に染み渡っていく。

「……有難う。良い歌だった」

 声が震えている。盲目の彼女だとて、俺が咽び泣いているのに気付いただろう。
 緩くなった口は、過去の思い出を語る。彼女の目が見えないことを察していることも。
 明かせない事実はまだある。それでも尚、彼女の歌声に救われた事実を知ってほしかった。
 持てうる全てを擲つように全身全霊を込めて歌う少女に、感銘を受けたから。初めて見た時からずっと彼女の歌に魅了されていた。
 たくさん彼女には助けられた。だから、今度は俺も彼女の一助になりたい。

「全てを明かさずとも友人になれるはず。俺は御身と、互いに助け合える友人になりたい」
「ファンではなく、依頼人でもなく。友人として、ベラーナリアに俺が出来ることはないだろうか」


 ❖ ❖ ❖

 大切なものは当たり前に存在しない。離別はいつだって理不尽に万物へ訪れる。
 生前での経験で分かっていたはずだった。また、俺は同じ過ちを。

「……そう、か。肥料に」

 千里眼を有する幽鬼からマグメリリティアの研究の正体を知ったのと、職員からベラーナリアの顛末を聞いたのは同日だった。
 この五年間、友人として多くのものを貰った彼女が、神の座に至りつつ俺の手にも届かない場所へと。
 別れは心労となり、臓腑を焼く血を吐き出した。ああ、せっかくベラーナリアと過ごした時間が癒し手になり、神格の適応が進んだのに。

「……悲観することはない。彼女と過ごした時間は俺が覚えている。彼女が歌っていた証はこの花籠にある。そうだろう、ベラーナリア」


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2022-10-31 15:06:35 +0000