綿摘み作業は 1ポンド 2.5セント
怒りの葡萄を読めば、資本家は、広い土地を所有し、綿を植えて、その綿を摘み取る大勢の安い労働力を提供する労働者を必要とする。オクラホマの土地を地主から買い上げ、小作人たちを追い出し、彼らの生活を奪い、安い労働力を売るしかない労働者を作り出す。労働者は仕事を求めて、求人広告を手に、カリフォルニアへと、僅かな家財道具と食料を摘み、ガソリンを買い、飲み水を買い、車をいたわりながら、西に向う。仕事は広告を信じるしかあてはない。途中のキャンプで少しずつ、カリフォルニアの果樹園や、綿農場の事情が見えてくるが、引き返すことはもうできない。行って見るしかない。カリフォルニアに入れば、オクラホマからやってくる労働者たちを、オーキーどもと呼んで、追い返そうとする。もう、労働者はいらないし、余っている。余計なトラブルの元以外の何物でもなくなっているからだ。仕事にあぶれた連中が盗みや、暴力沙汰の種になるからだ。警察も、地元の人々も、暴力団を雇って、キャンプ地から追い出そうと、騒動を自作自演し、それを理由に警察が乗り込み、捕まえ、刑務所に放り込こんで、家族をバラバラにし、追い散らす。それがまた、安い労働力の再生産になるのだから、資本は、その追い出しに一層拍車をかける。綿摘み作業は、2.5セントになる前は、5セントだった。だが、それでは安過ぎると、労働者が摘み取り作業をストライキした。資本家は、国道や、キャンプ地で、あぶれた労働者に、いい仕事があると触れ回り、集まってくる労働者たちを、1ポンド5セントに、摘み取り袋の賃料1ドルを賃金から差し引くことも含めて雇い入れる。ストライキ破りをさせるのである。もっとも、次の日には、半分の賃金にされる。ストライキをする労働者たちにこん棒で襲い掛かり、ストを先導していると思われる労働者を半殺しにする。そのうちに綿の摘み取りも終わる。仕事はない。資本は、こうして大量の安い綿を手に入れ、安い商品を売り、資本を拡大する。ロシア資本は、石油やガスの供給を閉じる。機械が止まれば、資本は成り立たない。土地、原料、労働力、 燃料、 商品の販売、そのどれが止まっても、資本は存立できない。
2022-07-15 00:29:20 +0000