いつの間にか雨も上がり、帰宅する頃には自分が持ってきた傘のことなど、すっかり忘れて帰り道を歩いた。我が家に帰り一息ついた、空が茜色に染まる頃、突然の呼び鈴に玄関を開けると、青い髪の少女が目に涙を抱えて立っていた。「忘れ物です!この子、な…泣いてましたよ!」私の傘を突き出しながら責める彼女の表情は、泣いているのか、怒っているのか分からなかった。
2022-04-29 12:00:09 +0000