過ぎさりし一瞬、それはブラックジャックの中で最長のお話。
知らねーよもしくは覚えてねーよって人の為に簡単に説明すると
今村健平という青年(やたら美少女顔)がBJの顔傷見て傷アレルギー発症
テメーのせいだ!と喧嘩売ったり殴ったり
売り言葉に買い言葉で治してやるとBJは言うが、その体質を調べているうちに健平は自分ですら知らなかった自分の過去を知ることとなる
その健平の過去越しに、BJもずっと探し求めていた【自分よりも腕のいい外科医】の存在に辿り着く
真実を知るため、その医師に会うため、向かうは南アのエルサルバドル共和国。エルサルバドルで二人(とピノコ)が見たものは…
ざっくりそんな話。秋田文庫版16巻です。
で。私、ブラックジャックという物語はその過ぎさりし一瞬が時系列順に並べた時の最終話で
全ては先生が健平と出会うための話であったと解釈しています。
あの話もどの話も、239話の全て。健平と出会うためのものであったと。
長くなるけど是非聞いて?
まず、幼い頃の負傷が先生と健平は見事なまでに線対称なのね。頭脚腕。
向かい合った時に同じ位置になるってわけだ
そんな普通なら命を落とすような大怪我を負い、両名とも天才的な医師の腕により命を救われている。
そして両方過ぎさりし一瞬の時点で凡そ推定20年前の話なのね。(正確な作中時間はわからんのでザックリした推測。作中時間流れてるっぽいからな。)
場所は違うがほぼ同時期に同じく戦争によるものの被害で命を落とすような大怪我をし、奇しくもその大怪我は線対称で全く同じ位置。
手塚先生の何か意図すら感じる。
そしてだ
健平は自らの事を「女趣味」と言った
裁縫だけなら言うほどでもない。女趣味だと言い切るからには他の事もあるんだろう。
料理とか掃除とかかな
料理裁縫掃除、それらはブラックジャックの最愛の愛娘であるピノコに足りないものではないだろうか?
ピノコの料理がひどいってのはしばしば話に上がる。掃除もよくやらかしている。
ピノコにそれらをしっかり教えてあげて欲しい…
更に
「自分よりも腕の良い医師に会いたかった」というブラックジャックの目的。割りと初期から一貫しているブラックジャックの目的だと思う。
その目的が達成されたがその手腕を実際に拝むことはできなかった。二度と見ることもできない。
じゃあそうなった時『自分よりも腕の良い医者が確かに存在したという証』である健平を容易に手放すだろうか?
ブラックジャックはひどく粘着質で自分の欲しいものにはとことん固執する男だ
その手腕を拝むことができなかったとなると、その人が確かに存在し確かに自分よりも腕の良い医師であったという証は健平の身体にしか存在しない
なまじあの子は喧嘩っ早い。手放して事故や事件に巻き込まれ勝手に死なれては嫌だと思うのではないか、病や怪我などで万一の事があった時誰か他所のどこの馬の骨かもわからん医者が無遠慮にメスを入れるのは嫌だと思うのではないか。そういう事態を考えるとどうしても手元に置いておきたいのではないかと。私は思う。
ついでに
金にうるさいブラックジャックが金の確認を健平に丸投げしている。そして健平を健平と名前で呼び捨てにしている。もう距離がめちゃくちゃ近い。物語後半なんかはもはやピノコと同レベルの扱いしてる。患者のはずだろそいつ。
対して健平も他の人にはしっかり敬語で僕で丁寧なのに、先生に対してだけ俺でため口で態度がデカい。
いつの間にかなんでそんな信頼関係産まれて打ち解けてるのかよ。誰も信用しないとかなんとか言ってた先生が。
これは蛇足だが
健平が男だという事だ
もし健平が女の子であったらあの距離の近さはピノコが許さないだろう。妬いて騒いで怒るだろう。
健平が男だからこそ悶着なく迎え入れる事が出来るのではないか?
という感じで
私はブラックジャックという物語はブラックジャックが健平と出会うための物語であったと信じています。
あの物語が終わった後、紆余曲折はあろうがブラックジャック医院に患者としてではなく迎え入れられているのではないかと思っています。20年前小学校の図書室でブラックジャックを初めて読んだあの日からずっと。
そしてその妄想を10年ぶりにリブートしたいと思っています。
過去の妄想描き散らし(illust/56227139)をご存知の方はあれはあれで私じゃない別の人が書いた二次創作だと思っておいて。小説類はリンク切れしたみたいです。
◆ここから先は完全に妄想妄言だけども
患者としてではなく迎えられたとして、あの子血が苦手過ぎるの大丈夫なの?
それよそれ
血を見ると失神するほど血が苦手・裁縫上手
どうも引っ掛かる。手塚先生にしてはどうも話に生かしきれていない死に設定な気がする。
もしかして手塚先生は本当に健平をブラックジャックの元に嫁がせる予定だったのではないか?
そして血がダメな健平に手術縫合させるという話を描く予定があったのではないか?
ブラックジャックが何らかで自宅にいない時に命に係わる急患、出先で事件に巻き込まれ動くに動けないブラックジャック
唯一通じるのは電話だけ
電話で早く帰ってくるように催促するが無理
状態は一刻を争う。他所の病院に行かせる猶予もない
ブラックジャックが下した決断は「、健平お前がやるんだ」
「お前が普段やってるようなぬいぐるみと同じだと思え。切って、取り出して、縫うだけだ」
「ピノコにできると思うか?できるワケないな。お前がやらなければその患者は死ぬ、ただそれだけだ」
「麻酔やらの手術のアシストはピノコが完璧にやる。いいか、お前は私の指示に従って動け」
電話越しで手術の指示を出すブラックジャック
そして…
という話を構想していたのではないだろうか。
と私は思うんです。
私には見えます
その無茶苦茶を完璧に終わらせ、気を失い倒れ込む健平
悲鳴を上げるピノコ
ギリギリで帰還、倒れ込む健平を後ろからスッと支えて
「よくやったな、もう大丈夫だ」と笑うブラックジャックが…
2022-04-20 16:40:34 +0000