- ペリドット 木陰の伝承 -
今から千年前、晶霊術師グラットニーは宝石に宿る魔獣と契約し晶霊獣を使役させることに成功した。
魔獣たちの持つ強力な魔性は大幅に希釈され、人々は思い思いに好みの獣をパートナーとして連れ歩き、使役した。
ガーネット、ラピスラズリ、アメジスト、ペリドット…
宝石の中に宿る魔獣の存在はいつしか忘れ去られていったが、その魔性は次第に外の世界へ溢れ出し、欺瞞や争いを生んだ。
ガーネットは衝動の力で目の前の物を内側から破壊する魔物と化した。
ラピスラズリは畏怖の力で人々を不安にさせた。
アメジストは孤高の力で絆を荒廃させた。
しかしペリドットだけは何の役にも立たなかった。
信頼の力を司っていたからだ。
魔獣たちはそんな信頼の力さえも巧みに利用し、ペリドットはついに自分の本心さえ信じなくなった。
世界が暗くなった頃、その光景を見たグラットニーの心に浮かんだのは激しい悔恨の念であった。
宝石の研究に生涯を捧げ、その美しさに魅了された彼が本当に望んだのはこんな世界ではなかったのだ。
ただ一つ、願いが叶うならば……そう思った時、魔獣たちは契約者の魂を喰らい始めていた。
そのとき、ペリドットはためらった。
心の間に、深い碧の石をじっと見つめる子どもの姿があった。
グラットニーが宝石の美しさを信頼していたように、ペリドットもずっと彼を信頼していたのだった。
ペリドットは自らの意志でその魔性を解放すると、途端に輝きが溢れ出し辺りを包み込んだ。
その場にわずかに残った信頼の気持ちが、身を引き換えにして全てを眠りにつかせた。
何事もなかったかのように、風が吹いた。
そして長い月日が経った。
人々は今日も尽きぬ不安や恐怖を抱えていた。
大きな平原の、誰も知らない木陰の間で夜露がすっと動いた。
それは信頼の気持ちだけでできた碧の結晶だった。
- - -
「……というわけだ」
ガーネットは話を締めくくり、ふうっと息をついた。
「つまり……」
ラピスラズリは眉を寄せて考え込む。
「えーと……グラットニーさんはどうなったんですか?」
アメジストが訊ねると、ガーネットは再びため息をつく。
「さあなぁ……。俺には分からんよ。だが、まあ……今でもどこかにいるだろうな、奴は長期契約者だ」
「じゃあさ!」
突然、ラピスラズリが声を上げる。
「グラットニーさんを探してみようぜ!そしたら何か分かるかもしれないじゃん!!」
「えぇ!?」
驚く二人を見てガーネットは笑う。
「ハハッ、いいじゃないか。そういう冒険があってこそ人生ってもんだろう?よし、決まりだな!!まずはグラットニーを探すぞ!」
こうして三人の冒険が始まった。
❖ ❖ ❖
ちょっとちょっと、何勝手に新たな冒険が始まってるわけ!?
グラットニーって誰?
えーっと、これを見ている皆さんはこのようなお話を考えずに素直な心でゲームのリリースを楽しみに待ちましょう。
私も楽しみです!
2022-04-15 21:47:33 +0000