真澄み羅(まそみら)
病院の鏡にいたナニカ。
牛の頭、虎の皮とその他で作られた鬼を神として祀る、昔かつて存在したある村の信仰。
そのまがい物の神は、
人々から必要とされなくなり社を壊され野良神から祟り神に。
かつて祀られていた場所に建った病院は社のように居心地よく、
依り代として飾られていた鏡がたくさんあった。
怒りに満ち、身侭エゴイスト。
人を愛するよう作られた神、人が愛しくて仕方がない。
それは……
「窓辺へ立て」
歪んだ愛情。
「鍵を開けろ」
つらくて苦しいのなら楽にしてあげよう。
「飛び下りろ」
それが今のこの者の優しさ。
笑っているがそれは笑ってない。
それは小さい口で歯ぎしりのように、囁くだけ。
2022-03-31 09:09:04 +0000