【まほとき】ポリヌ【魔法使い】

スギタ
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こちらの企画に参加させていただきます【いつか魔法を解きにきて】(illust/95849633)

「あの人に髪の結い方、聞いておけばよかったな…」
「ずっと待っていたけど…でもね、待ってるだけじゃダメだって気付いたから…!あなたを探しに来たの…」
「お花は好き…?そう、よかった」


名前:ポリヌ(porxinu)
性別:両性
年齢:206歳
身長:158cm(152cm+ヒール6cm)
一人称:ポリヌ
二人称:あなた、○○さん

旅をしている魔法使い
控えめで大人しい印象を与えるが怖いもの知らずな一面も持つ
生まれて間もない頃人間に助けてもらい一緒に暮らしていた
(人間さんには身の回りの世話をしてもらっただけで魔法は自力で習得していきました)
※CS内のポリヌという花は創作花です

ポリヌの花
花言葉:いつかあなたに会いに行く
とある地方で死者に手向けたり、墓に供える花として使用される
死者との関係により献花する際、花の色が変わる
赤→恋人、配偶者
黄→友人、同僚
青→家族
この他にも黒色と白色がある


(03/23)前世で魔法をかけた人間さんに再会できました

リンベルさん【illust/97042681

一番古い記憶。確か、そう ポリヌは独りで泣いていました。
思い返せば、あのとき泣いていた理由は“孤独”…寂しさから来ているものだと、思う。
この世界で頼れる人がいなくて、一人ぼっちで…孤独に押し潰されそうになっていました。

そんなときでした。“あの人”が…声をかけてくれた。
穏やかに微笑むあの人に、自分は縋りつき泣くことしか出来ませんでした。
けれどあの人はいつまでも優しく背中を撫でてくれました。

その人の名前は『リアンさん』 今でもずっと、ずーっと大好きなポリヌの“パパ”

「あの…ちょっといいですか…?この辺りに魔法をかけられて困っている人間さんはいますか?」
「土の上を歩くと花が咲いちゃう魔法です。こういう、舗装した道路だと大丈夫だけど…」
「…わかりました。ありがとうございます」
「パパ、なかなか見つからないなぁ。きっとこの世界のどこかにいるはずだけど…」

旅をしながらあてもなくパパを探すのはまるで、砂漠に落としたビーズを探すような途方もない苦労に思えました。
『パパ』というけれど生まれ変わったであろう姿は女の人かもしれないしポリヌよりもっと小さいかもしれない。
手掛かりはポリヌがパパの最期にかけた魔法だけ。パパが大好きだった魔法。いつもポリヌがかけると喜んでくれた魔法。

「…よしっ!こんなところで諦めちゃだめ!がんばろ!」

もう何年旅をしただろう。200年近く生きている自分にとって時の流れは早く感じました。そんなとき。
「えっ…!?そのご貴族の息子さんのこと、詳しく教えてください!」
偶然辿り着いた街の貴族の息子が家出をしたという噂を聞きました。
しかもその息子には嘘か本当か…魔法使いに魔法をかけられていたそうです。
彼が土の上を歩くと…その跡には花が咲いていたのだと。
その家の元使用人だという人物が真剣に話すのを周囲の人はそんな馬鹿なと笑い飛ばしていました。
けれどポリヌはわかりました。その人がパパの生まれ変わりだと。間違いありません。
「その息子さんのこと、詳しく教えてください!あと、写真とかあったら…!」

その日からポリヌはずっと彼を――『リンベル』という名の少年を探し始めました。
毎日彼の足取りを追う。けれどポリヌにとってようやくつかめた唯一の手掛かり。
むしろポリヌはわくわくしていました。もうすぐパパと会える。嬉しい!何を話そうかな!
そんな気持ちで歩いていたポリヌの腕が突然誰かに掴まれました。
びっくりして振り返るとそこには。ポリヌがずっと探していた『彼』の姿がありました。

「…パパ!!会いたかった!!」
笑顔のポリヌとは対照的に彼の眉間に強く皺が寄せられたのを、覚えています。
どうしてそんな顔をするのか、そのときのポリヌにはわかりませんでした。

ポリヌが再会した今のパパ…リンベルは噂で聞いていた様子とはかなり違って驚きました。
いつも怒ってて、ぶっきらぼうでつっけんどんで、どうやらポリヌのことが嫌いみたいでした。
ポリヌのことは…あまり覚えていないみたい。
「魔法を解けって…そんな、会えたばかりなのに…もう解いちゃうの?」
「パパ…あっごめん。リンベル…ってそんなに怒らなくても…」
「ねぇ、ポリヌの話聞いて!あなたは前世でポリヌを育ててくれて…それで…」

リンベルはなんとかポリヌを追い払おうとしましたがポリヌはリンベルの旅についていきました。
だって、せっかくパパの生まれ変わりに会えたから。リンベルはパパの生まれ変わりだから。
何気ない所作でパパみたいなところを見つけると嬉しくてまるでパパみたい、って言った。
その度にリンベルがまるで苦虫を嚙み潰したような顔をしていたけれど、それはただポリヌが、魔法使いが嫌いだからだと思っていた。

けれど、違った。
リンベルにとって誰かと比べられること、自分を、リンベル自身を見ないことはとても…とても辛いものだった。
そうやって生きてきたリンベルの話を彼から聞いてポリヌは怒った。そう、自分を棚に上げて。
リンベルにそういう風に接してきた周りの人たちに…怒った。
でも、ポリヌだってそう。リンベルを…ずっとリンベルとして見ていなかった。
ずっとパパ…リアンさんとして、リンベルに接していた。リンベルにひどいことをしていた。ずっと。
それに気付いたときはどうしていいかわからなかった。謝っても到底許されることじゃない。
こんなとき…パパならどうするんだろう。…違う。ポリヌが、自分で考えなきゃ。
…リンベルの背中に向かって言葉を紡ぐ。

「あのね、リンベル…。今までの事本当にごめんなさい…。ポリヌ、ずっと自分の事ばかりでリンベルのこと何も考えてなかった」
「ようやく気付いたの。パパはパパで…リンベルはリンベル」
「リンベルは確かにパパの生まれ変わりだけど…それでもリンベルはパパじゃない」
「ポリヌは…リンベルのことを知りたい。パパの生まれ変わり、じゃなくて“ただのリンベル”として」
「ポリヌは…ただの魔法使いと、ただの人間としてあなたと仲良くなりたい」
「ねえ、リンベル。ポリヌ達…やり直せるかな…?」

振り向いた彼の後ろで落ちる夕景はとても美しかった。

せめて見守らせてほしい。傍にいさせてほしい。
ポリヌの花をいつかあなたに手向けるまで。


(キャプション最終更新 2022.08.16)

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2022-03-19 01:12:24 +0000