夕暮れの田舎の駅
昼の暑さがまだ少し残るベンチに、僕と、おじいさんと、おばあさん。
「お二人はどちらへお帰りですか?」
僕がそう尋ねると
「あちら」
おばあさんは真上を指さした。
「あちら」
おじいさんは真下を指差した。
そして、二人は、つないでいたもう片方の手を名残惜しそうに離し、すうっつ、と消えた。
…………
ああ、天国と地獄からのデートか……。
僕は、二人が帰った後、駅員さんに確認しに行った。
僕はどっちに行きますか、と……。
2022-02-08 03:56:00 +0000