1,「初恋鼻くそ」

なわない

 あなたは、あの頃、近所の土手に寝そべって、鼻くそをほじくっていませんでしたか?
 そう、土手で鼻くそ。
 そんなときに限って、あなたの好きなクラスメイトのさっちゃんが、駆け寄ってきませんでしたか?

 あなたは慌てて、鼻くそをその辺の葉っぱにこすり付けたりしませんでしたか?
 さっちゃんは、息を切らせてあなたの横に寝そべって、頬っぺたを真っ赤にして
「おら、おら、前がら、おめのこと好きだ」
 と言いませんでしたか?

 いきなりの告白に動転しながらも
「おらも、お、おめのこと……」
 と言いかけたら、さっちゃんはあなたの腕を取って、胸に押し付けたりしませんでしたか?
 そして
「ほら、おらの胸、こんなにどきどきしでる」
 とか、言いませんでしたか?

 あなたが、さっちゃんの柔らかいおっぱいの感触を右手に受け止め、

 体中のあちらこちらをカチンカチンにしていると、
 さっちゃんは
「まだ、接吻は我慢してけろよ。そのかわり」
 と言うやいなや、胸の上にあったあなたの腕を引っ張って、人差し指に、強烈なチュウしませんでしたか?

 まだ半乾きの人差し指。
 吸引力抜群のチュウ。

 あなたは、
 
 さっちゃんに、
 
 人より多めの、
 
 しょっぱい青春の思い出を
 
 プレゼントしませんでしたか?

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2022-02-04 21:53:09 +0000