「ウッ。くさい!」
クロマツは思わず鼻をつまみました。一面のドクダミの畑から、何とも言えない強烈な青臭さが漂っていたのです。
「お前たち、立ち止まってないでこの葉を切るのを手伝ってくれよ!」
いつの間にかキヘイはものものしいマスクをつけ、小刀を手にドクダミの茂みに分け入り、一番立派そうな葉をしっかりと握りしめてからクロマツの方を見て言いました。
「すみません、ちょっとにおいが強くて……」
「何だよ、だらしがないなぁ」
「じゃあそのマスクを僕らにも分けてくれよ!」
「これは一人分だけなんだ。悪いな」
クロマツは顔を膨らませて渋々茂みの中に入っていきました。
ヨモギも眉のあいだにぎゅっとシワを寄せながら、あとに続きました。
2021-12-16 12:28:35 +0000