月魄（つきしろ） 陽が落ちると空は青く着飾って輝く星と月を運んでくる。
今日もそれなりに色々あったが、ある程度は立ち回れていたのではないかと
一日を振り返り安堵する僕とは対照的にまるで一人芝居でもしているかの様に
廊下で右往左往する義姉と目が合った。
「どうしたの義姉さん」
「もう直ぐやってくるのよ…」
いつもの事だけど、カタリナは慌てていると主語が無いので話が掴めない。
此方からそれとなく探りを入れないと話が進まないのだ。
青ざめたり溜息ついたり険しい顔になったり頭を抱える姿を察するに…これは…
「義姉さん、もう直ぐ15才の誕生日がやってくるね」
「そうなのよー!」
当たりだ。
「最近、畑仕事にかまかけてダンスのレッスンが疎かだよね」
「どうしよう…お母様が…さっき明後日ステップのチェックをするって言い出して…」
「明後日」
「そう、明後日なの！」
明日じゃ無いだけ良かったねと思うと共に、義母さんも娘が晴れの舞台でもしやらかしてしまったら数日寝んでしまうんじゃ無いかと心配にもなる。
「義姉さん、夕食が終わったら大広間に行こうか」
「キース?」
「義姉さん、ダンスの才能皆無ってわけじゃ無いから取り敢えず付け焼き刃でも何とかなると思うよ。僕で良ければ一緖に練習しようか。」
「キースぅーーー、いっぱい足踏んじゃってもいいのー?!」
足踏まれるのは慣れてるよと言いかけてそれじゃやる気を削ぐかもと飲み込み
「大丈夫。義姉さんは、やれば出来る子だよ。二日間頑張ってみよう。」
そう伝えると彼女は、笑顔になり早速夕食を食べるわよーって僕の手を引っ張る。
僕は僕で、今日と明日大好きな義姉さんとダンスが踊れる事を
心から楽しみにしてしまって思わず顔が綻んでしまった。
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タイトルは、ビートルズの「すてきなダンス」という楽曲（原題）です。
気になる方は和訳をググってみてください。
2021-11-11 22:40:49 +0000