「やっと見つけた!探したのよキース」
聞き慣れた声の方向にふりむくと少し距離のある場所から手を振っていた声の主である義姉のカタリナが、勢い良く駆け寄り何の躊躇いもなく僕を後ろから半分抱きしめる。
「あら、なぁにその本。ロマンス小説?……難しい単語が沢山……なぁんだ魔法書かぁ」
「あのね…義姉さん、もう立派なレディなのだからスカートをたくし上げて走ってはダメだし…その…、子供じゃないんだからこうやってくっつくのは…っ」
僕だって年頃の男であるので密着されると……嬉しいんだけど…だけど…っ、…なんでこの人は無自覚に僕の心を弄ぶんだろうと思った瞬間、背中に感じる柔らかい膨らみに自分の頬が徐々に紅潮していくのがわかったので気付かれないように気持ちをなんとか落ち着かせようと目を閉じて一呼吸置き、何事もなかった様に続きを喋ろうと振り返る事を試みる。
「えー、ダメなの?…もしかして嫌?」
後ろからさらに体を密着させ澄んだ水色の瞳の彼女が僕を見つめる。
僕の心は、いとも簡単に騒ついた。
「嫌……では無い…んだけど……!」
寧ろ嬉しい。でもそんな事言えない。
ああもう、続き…何を言おうとしたか忘れたじゃないか。
いや、忘れたわけじゃ無いけどもうどうでも良くなったと言うべきか。
こんなに愛らしい顔をして見つめられたら全てを許してしまう。
「あ、そうだ。私、キースにお願いがあって探してたのよ!」
義姉が僕に手伝って欲しい事だとすると…
「畑仕事かな?」
「凄い!よく分かったわね。今日、とっても良い天気でしょ。この日を逃してはならないと思ったのよ〜。キース、今日予定無かったら…駄目かな?」
確かに今日は、朝から爽やかな風が吹く良い天気だ。
ジオルド様は、終日公務で此処に来ることは無いだろう。
他のみんなも其々に予定があると言っていた。
僕は、今日の為に所用は前日に済ませてある。
つまり今日は、カタリナを独占出来るのである。
愛する貴方の頼みというのならば
「勿論、喜んで」
「キース、大好きよ!」
カタリナの全体重が僕の背中に寄りかかる。
耳元で愛しいひとの心地よい声が、今日の優しい風と共に運びこまれる。
やっと気持ちが落ち着いてきたというのにまたこれだ。
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他のメンバーと違ってカタリナが心を許して体を預ける
(特にお手伝いなどのおねだりの時に)
相手は義弟であるキースなのかなという妄想からの絵です。
ついでにちょっとしたSSも書いてみました。
2021-10-31 03:04:21 +0000