闘乱祭 *終了企画です
「だからさー、もう師匠なんて呼ぶなよ。俺達の関係は終わったんだし、今じゃお前の方がずっと強いんだから。
俺に勝つ気で勝負するんだろ? はは、すげー反撃。…立派な成長ぶりじゃん。羨ましいことで」
「………は? なんで泣くんだよ。お前、そんな顔一度も、」
■花染 美澄(はなぞめ みすみ)
■三年生/♂/174cm
■一人称:俺 二人称:君・お前/~さん
そこそこに歴史がある心剣使いの家系の三男。特に苦労することも無くそれなりの能力を持って生まれた気楽な優等生。
幼い頃から様々な才能に恵まれており、特に頑張らなくともあらゆることが「そこそこ上手に」出来るため努力というものに縁がなかったが、
一年の頃に色々あって弟子になった同級生の影響で次第に自分の修行も真面目にやるようになってきた。
二年の終わりごろから心剣の能力に異変が起きており、三年に進級してからは完全に能力が変化した。
それによって自身の心剣が持つ能力をようやく理解し、そこからずっと目を背けてきた自分の限界にも気が付いて物凄く落ち込んでいる。
一年の頃からコーチと弟子として親しくしていた相手が、努力を重ねて見違えるほど成長した姿を隣で見てきて、
自分も頑張ってみようかと真面目に修行をするうちに力不足を痛感し、思うように行かない苦しさを覚えるようになった。
それから暫く修行を続けるうち、心剣の能力すら把握できずにいた自分と努力を実らせて一人前に近づいている彼女との差を知って
心剣が写す能力が変わった理由――今の自分が一番憧れているのは、自分と違って一生懸命努力して成長したあの子の姿なんだと気付いた。
ずっと先輩面で接してきたこともあって、いつの間にか追い抜かれていたことに対して落ち込むと同時に強い焦燥感に駆られたことで
「もう師弟関係は終わり」と一年の頃から続けていた師弟関係を一方的に破棄して喧嘩別れし、彼女を避けるようになった。
そんな経緯もあって彼女から挑まれた闘乱祭での勝負については、正直乗り気ではなかった。
あまりにも必死な顔をしていたから、仕方なく受けただけだった。
あの顔を見るまでは、確かに。
■心剣:若紫
常時顕現型の心剣。日本刀に近い形状で、紫がかった色の刀身を持つ。
美澄自身は知らずにいたが、本来の能力は「使い手の憧れを写す」というもので、憧れていた人=現当主の心剣能力に近いものが発現していた。
憧れの対象が徐々に変化していくことで写す能力が変わり、今はフワフワする綿が出るだけ。
無駄なくらい光り輝き振りまかれていた光は今では一切出なくなり、ただの刀としてしか使えない。
【能力】
使い手が憧れる姿を写す能力=別の心剣使いの能力を一部コピーして使うことができる。
まったく同じものではなく、似たものにしかならない。
本人の奥底にある感情に引っ張られるため、意識して能力を変えることはできない。
■元弟子:羽若部とらちゃん【illust/93166300】
入学時に席が隣だった縁から色々あって師弟のような関係になったクラスメイト。師弟関係は一方的に終わりにした。
努力した分だけ真っ直ぐ素直に成長し、今ではすっかり一人前の心剣使いになっている。コーチだったはずの自分よりずっと、立派に。
精一杯の虚勢で笑って終わりにしたはずなのに、なぜか噛みついてきたことが少しだけ、いや結構気に入らない。
できればもう、必要以上に関わりたくなかった。向き合えば向き合う程、自分の力不足とあの子を気に入っていたことを思い出すから。
「…あーあ、せっかく笑って終わりにしようと思ったのに。なんで噛みついてくるんだよ」
「お前はもう、一人でも大丈夫だろ。生憎俺は自分よりできるやつに構ってるほど暇じゃないわけ。
俺だってそこそこ頑張ったつもりだけど、全然だめだよ。お前みたいにはできないし、なれない」
「だーから、全然ダメなのは俺の方だって。ほら、お前やっぱ俺の太刀筋も見えてるし…この綿が誰のかも、分かってるだろ」
「………意味わかんねえ、なんでお前が泣くんだよ。お前は望み通り強くなって、俺よりずっと前にいる。とっくに一人前で、コーチなんて必要ないだろ」
「勝負はお前の勝ちだし、それはお前が頑張った結果だろ。……泣く理由なんてない。威張ってればいいんだよ、前の俺みたいに。
俺はお前のそんな顔が見たかったわけじゃないし、こんな気分になりたかったわけでもない。……なんなんだよ、一体」
「……俺は、何を間違ったんだろ。そんなことすら分からないから駄目なんだろうな、きっと」
(本当は、全部俺が悪いって分かってる。いつもみたいに笑って、頑張ったなって言ってやりたかったはずなのにな。……こんな格好悪い姿、好きな奴に見せたくなかった。…それだけだったのに)
■企画自体は昨年度で終了していますが、卒業前にお邪魔します。
その後の描写についても可能とのことで、引き続き遊ばせて頂きありがとうございました!
一年夏【illust/74918806】
一年冬【illust/78311254】
二年秋【illust/84844529】
*キャプション随時編集
2021-10-02 04:30:51 +0000