2218年末。
一枚の写真が国連宇宙軍を騒がせた。
それは前日に火星への定期無人強行偵察衛星が遠距離から捉えたものであったが、火星が今まで確認されなかった艦型の。
まして大型艦を独自建造したとなれば、国連が動揺するのも頷けるだろう。
偵察写真には3隻の真っ赤なカラーにライトイエローのラインが入った未確認大型艦。
それも従来の丸い『紡錘形』の船体ではなく、平べったい『楔形』に近い艦型であった。
国連宇宙軍はただちにこれを国連総会へ上申。
国連はすぐさま緘口令を敷きこの火星との緊張を「地球のみ」で解決しようとした。
そして2218年12月24日。
クリスマスイブに火星領事と国連代表の会談が執り行われた
さっそく国連は火星側に、今回無断での新型艦独自開発について言及。
だが、火星側の返答は予想に反して
『そのとおりだ』
の一言。
この発言は代表者のみでなく国連理事全員の予想とは大幅に反すものであり、国連全体を動揺させた。
その後火星政府はさらに
『防衛措置のための最低限の建造数であり、独自開発を禁止された覚えはない。』
という先の内惑星戦争後に締結された不平等条約の穴と欠点を突くものであったが、それは半ば屁理屈とも言える意見もあり、現在でも議論が絶えない。
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『ムサカ級大型巡洋艦』
全長:205m
武装:連装速射陽電子収束砲 4基8門
艦首多用途発射管 4門
対宙三連装パルスレーザーマシンガン 4門
同連装パルスレーザーマシンガン 10門
同型艦:12隻
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[火星側技術者の証言]
艦が赤くなられた理由は主な配備先が火星守備艦隊であったことと、火星人の身体的特徴である赤い目の虹彩を元にしており、ガミラス親衛艦隊カラーの高貴な青のような考えで誇り高き赤という理由で赤く塗られたという。
そして波動砲がない分余ったエネルギーを連射速度向上のための『主砲強化ハイパータービン』へ回しているため従来の収束圧縮型陽電子衝撃砲の倍近くの発射レートを誇る。
そして少ない予算と資源を節約すべく前から見て舷側が斜めになっていて、さらに上下に平たい左右のバルジ部分にはビーム撹乱剤が充填されているため対ビーム装備に関しては従来の巡洋艦クラスよりは圧倒的な防御力を誇る。
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この会談より数週間後。
この一枚の偵察写真が元で新たな戦乱の時代が幕を開けることとなる…。
2021-09-08 13:23:41 +0000