企画元:愛しい花の食べ方【illust/90826827】
◆バルド・ウィーン Balld Wiene
町の個人病院で手伝いをしている、花食の医学生。
恵まれた家系に生まれたが、家人の反対を押しやって学問の道を取った背景がある。
幸いにも花蜜との関係はこれまで良好であり、香りに惹かれはすれどそこ止まりだった。
……が、医学実習にて偶然にも花蜜の血と対面し、
その血に花食らしい強い衝動を覚えてしまったのを機に苦悩しはじめる。
花はおいしく食べるが、それと花蜜を食うことは別物だという認識でいる。
◇素敵なご縁をいただきました
シユさん:illust/91899791
「ーーあぁえっと。実は自分、その病院で手伝いやってまして。
……お見舞いか。そっか。そんな風に思われてたとは思ってなかったので、意外だったなぁと思って……。
ちょっと学業が忙しくてしばらく休ませてもらっていただけだったんです。ほらあの、隣街のーーあそこに通ってて、こっちにはご縁があってお世話になっててーー。
……なので、ご心配いただいたのなら大丈夫です。むしろ、家族は今も昔も健康そのものなんで! 変に心配させてしまったのなら申し訳なかったな、というか……!」
花を眺めている間は気が落ち着いたから、無意識に考え込んでしまってただけなのだけど。
思い詰めているように見えたみたいだ。その子は、いつも花を買いにくる俺のことを、誰かの見舞いだと思っていたそうだから。
身内がまた入院して気落ちしてる風に見えたんじゃないかな。そりゃ、しばらく通ってた見舞い客がぱったり居なくなったら、身内が退院したんだろうなと思うし、その見舞い客がひと月くらい経ってまた現れたかと思ったら、ぼんやり花を眺めて突っ立っているんだもんな。
……人の心って、黙ってても案外わかるもんなんだなと思った。
かという俺は鈍感者だったので、その頃からあなたが気にしてくれてたことに気付けなかったわけなんだけど。
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遅れ馳せながら素敵な企画に参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
2021-08-22 07:12:57 +0000