FHG3 4回戦(illust/89998820)
こちらの流れをいただいております。
「全速前進」(illust/91769298)
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かすんでいく敵影に向け放った刀。
それは届くことなく虚空の彼方へと消えていった。
これ以上の追跡は無用と判断し、巨大な魚は静かに速度を落とした。
言葉一つこぼすことなく俺たちは地上に降りる。
湊季は満身創痍という体でふらふらと地面に膝をついた。
あの時と同じだ。
孟徳の元を離れる『彼奴』を俺は仕留めることが出来なかった。
孟徳の心を乱す『彼奴』を兄弟たちの元に帰すわけにはいかなかった。
俺は必要な場面で、必要な働きをすることが出来なかった。
俺は。
おれは。
オレ ハ。
次の瞬間、俺の意思は体から弾き飛ばされたようになり、
まるで他人のように自分たちの姿を見つめていた。
俺の身体は乱暴に湊季の両肩をつかむ。
「バーサー……!」
「あんな奴は必要ない!」
湊季は突然のことにひどく驚いた顔をしていた。
何を言われているのかわからないのだから当然だ。
俺の意識はひどく冷めた感情でそれを見ていた。
狂化による幻覚、錯乱。
今まで強く抑え込んできたものがついに吹き出してしまった。
湊季には、こんな姿を見せたくなかった。
「お前には俺がいるだろう!
お前が欲しいものは全て俺がお前に捧げる!
お前の道を妨げるものは全て俺が排除する!」
今、俺の身体は過去の感情の中にいる。
それは表に出すことはなかったが、確かに存在していた感情。
自分の有用性は自分で示さねばならない。
使えないものは必要ない。
自分以上に優秀なものは許さない。
「お前の側には俺がいればいい!俺だけが……!」
俺は、ずっとお前の隣にいたかったんだ、孟徳。
錯乱している俺の状態を少しずつ理解したのか、
湊季は俺の頬に手をあて、視線を合わせる。
「……俺にはお前しかいないよ」
湊季はかすれるような声で、静かにささやいた。
その言葉に俺の身体はぴたりと動きを止め、
強く握っていた手からも力が抜けていく。
ゆっくりと意識が自分の身体に戻っていった。
それはずっと俺が欲しかった言葉だったのかもしれない。
視界が定まると、湊季の顔が間近にあった。
負傷し血の跡が残る開ききれない左目は真っ赤に充血している。
「……その目、俺と揃いだな」
軽く笑いを含みながら呟いた言葉に主は怪訝そうに眉を顰めた。
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バーサーカー 夏侯惇がやったこと:
もそセイバーさんたちを乗せたソリに逃げられました。
狂化の影響による幻覚が発現。
沈静化後、4回戦戦場から離脱しました。
欠損、瀕死、死亡の際は一度お声かけください。。
なお、こちらは皆様の行動を縛るものではございません。
不都合な場合のスルー、改変はご自由にどうぞ。
その他、何かございましたらお手数ですがご連絡ください。
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【ご出演くださった方】
百目鬼 湊季くん(illust/83380523)
バーサーカー 夏侯惇(illust/82582986)
【FHG3】(illust/82004204)
2021-08-20 14:06:12 +0000