◆シャルロット/16歳/156cm
主に野花を育てています。
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🌼素敵なご縁をいただきました🌼(8/21)
グレイさん【illust/92014896】(呼び方:先生)
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「世界」は 私に薄情だった
最も強い「繋がり」であるはずの両親でさえ
その心は 情は 私に対して向けられることはなく
私が「花食」という存在に襲われ 傷を負ってもなお
それが揺るぐことはなかった
その人は 「自分のところにおいで」と言った
私を治療した医者であり いまは薬師を営む男性
日々の目的があるわけでもなく
折々の楽しみがあるわけでもなかった私は
何の気無しに その提案を受け入れたのだった
誰かから「ありがとう」と言われたのは 初めてだった
誰かに微笑みを投げかけられるのは 久しいことだった
止まってしまった時間が 心が 動き出すのを感じた
その人は ただただ 優しいまなざしで 見守ってくれた
誰かの役に立ちたいと その人の力になりたいと
そう願うようになっていったのは いつの頃だったろうか
大きな背中を追いかけ 微笑みを向けられることが嬉しくて
その人のようになりたいと その人の隣にいたいと
そう願うようになっていた
「告白」は突然のことだった
その人は 自分を「花食」だと言った
いつか 私を傷付け 概した存在と 同族なのだと
その告白に 私の心は大きく揺さぶられた
「ごめんなさい」と 小さな呟きを残して
咄嗟に踵を返してしまった
そうして帰宅して からっぽの我が家を眺めて
無人の居間を見渡して 涙が溢れそうになった
「彼」が居場所をくれていたのだ
何もない 希薄で空っぽな私に
惜しみない愛情を 与えてくれていたのだ
幾日かの逡巡と葛藤を経て 私は一歩を踏み出す
見知ったドア そのノブに手をかける
もしも また この扉を開いたら
あなたは 笑って 迎えてくれますか?
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※説明文に誤りがありました。
「花蜜の研究者」→「花食の研究者」です。
◆愛しい花の食べ方【illust/90826827】にお邪魔させていただきます。
よろしくお願いいたします。
2021-08-09 09:55:40 +0000