【花食】 シャロン 【花蜜】

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こちらの素敵な企画に参加させていただきます。
愛しい花の食べ方 | illust/90826827

▷  シャロン 花蜜 | 19 | 159㎝

 植物学者の父の手伝いをしている少女。
 食べるのが好き。
 食物連鎖って、世界の真理だよね。
 実年齢より幼い行動や言動が目立つが頭の回転は早いほう。
 双子の妹がいて、妹よりも賢くて容量も良くていい子だねって比べられて生きてきた。

 ある日、妹が、父の助手と家を出ていった。
 ずっと自分より劣っていると思っていた妹と、ずっと好きだった人が一緒に消えてしまった。
 おかしいよね、だってあの人は花がないと生きていけない人なのに。
 おかしいよね、だって、あの子は、花の香りなんてしないはずなのに。
 笑顔の奥で大きく育った自尊心は一瞬で劣等感に姿を変えた。

 妹とお揃いで伸ばした髪を、ばっさりと切り捨てた。
 おかしいな、あの子は、まっすぐストレートだったのに。

 心の中のどろどろが抜けきらない。
 ねぇ、お願い、これだけでいいの。ただ、これだけで。

──ねぇ、いらなくないよって、言って。

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 8/10 素敵なご縁いただきました*.

 何も見てない、こっちを見てない。
 その目が、こちらに向いたら、きっと、わたしは。


 嘘でもいいよ。いっぱいいっぱい、シャロにあなたをちょうだい
  テルル・カルコス さん | illust/91652209

これは恋じゃない、愛でもない、好意でもなければ善意でもない。
私たちに綺麗で眩しくて輝かしいものなんて、最初から、一片さえも存在しない。


「短い方が、スッキリ見えるでしょう?
 それとも、自分より髪の毛の長い人がお好きかしら」

「お仕事、忙しいんでしょう?
 いっつもお仕事のお話してるもの」

親が持ってきた縁談話。
仮初の関係、中身なんてない、蓋を開けたら外面も存在しなかった。
普通の女の子だったら心が折れていたかもしれない。

 「怖くないよ。だって食物連鎖でしょ?」

──でも、私にはね、もう、折れる心もないんだよ。

「嘘でもいいよ。なんでもいい。だから、私にもそれをちょうだい?」

ただの取り引き。
中身はいらない、ただ、私がここにいてもいいって、安心感が欲しいだけ。

だって、この人は、何も見てない。
私を見てない。

もう、あんな想いはしたくは、ない。

──けれど。

不毛。
無駄で、不毛で、虚しくて儚くて、笑えない。

時々、この男は酷く頭が悪いのでは無いかと思う。
手に入れたいと思えば手に入れられるのに、その望みすら持ちえない。
必要ないとか、意味が無いとか、価値がないとかではなくて、欲しいといえばいい。
その欲さえもなくしてしまったら、何も手に入らないことを、きっとこの男は知らないのだ。
中途半端にものを手に入れてしまっているから、望み通りになってしまっているから。
本当は取り落としてるものが沢山あるなんて、きっとこの男は気づきもしない、気にも留めない。
口先の、口上の理論が耳の中でリフレインする。
さも当然というように、言い伏せるように告げられる理論が酷く上っ面だけに聞こえる。

何も見てない、私を見てない。

あぁ、本当に。

「ねぇ、それいつまで続くの。つまらないよ」

可哀想。
こっちを見てないのに、見る気もないのに。
突き放しもしないでただ泳がせて、逃げられないでしょ、なんて。

「空っぽなんだから、欲しがればいいのに」

バカみたい。
浅ましさとか、みっともなさとか全部かなぐり捨てて、いつもみたいに偉そうに言い放ってしまえばいいのに。
それをすれば手に入るものがあるって、知らないわけじゃないでしょ。
手を伸ばせば届くのに、それすらしないで無関心を装って、当たり前みたいな顔して、まるで逃げてるみたい。

「ねぇ、早く、ちょうだい」

降り注ぐ空虚な音。
触れる指先。
感じる体温。
震える鼓動。

機械みたいなあなたから感じる、ひとつひとつを私が奪っていく。
空っぽな彼から、私が奪う。

あなたはね、気づかないよ。
体温も、鼓動の音さえ見て見ぬふりをするあなたは、私からは何も奪えない。

「ふふ、残念でした」

あなたの思い通りになんて、絶対ならないんだよ。
離れてもあげない、奪われてもあげない。
ずっとずっと、このまま。

いい子の私が、こんなこと思うなんて、思いもしなかったよ。

──ざまぁみろ。

随時編集いたします。

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2021-08-08 17:20:42 +0000