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おかかこちら【illust/90826827】の素敵な企画にお邪魔します。
♦︎エルマー・クラッセン Elmar Classen
昆虫学を学ぶ学生。自由を好み花食という枠組みで捉えられることを嫌う。あからさまに差別的な態度をとられると厳しい言葉をかけることもあるかもしれない。
✼素敵なご縁をありがとうございます✼
ニーカさん【illust/91583309】
ニーカさん→ニーカ
ふらりと立ち寄った本屋で。いつか、虫がついてるって騒いでた女の子がいた。甘い香り。花蜜だ。
彼女と関わらない方法なんていくらでもあるのに、僕はまた明日もこの本屋へ来て彼女に話しかけるんだろう。
「それじゃあね、ニーカさん。また来るよ」
虫は嫌いな筈なのに、本屋を訪ねるたびに僕好みの本を見つけて持って来てくれる。何だかんだ言いながらも僕の話に耳を傾けて、笑顔を見せてくれる。彼女と一緒にいる時間は、昆虫を探している瞬間と同じくらいわくわくする。
でも、
彼女は花食が嫌いなんだろう。日々の彼女の言葉や行動の端に、そんなことを感じ、どうしよう、と罪悪感と不安が僕の胸に淀みを作る。僕はいつまで正体を隠したままでいるんだろう。
言いたくない。口にしたくない。けれど僕は花食で、出会った時から彼女に抗い難い食欲を感じていることは確固たる事実だと、空腹が強く訴えるんだ。
ある日、約束の場所で、彼女が僕に見せたい本があるって言ってたから。
出会った当初は引きこもり気味だった彼女が最近は前よりも外を出歩くようになったことが、外でも会えることが何故だか無性に嬉しい。そんなふわふわした気持ちを掻き消すように湧いてくる食欲に、彼女がやって来るまでに空腹を満たそうと、足元に咲いていた一輪の花を摘み取り口に運んだ瞬間。
「違う、騙してたとか、そんなつもりはなくて…」
嫌われたくない、と咄嗟に口をついた言葉があまりにも言い訳染みていて情けない。けれどそんな格好悪さにも彼女は気付かないようで、ああ、彼女の目に映る僕はどうしたって一人の花食なんだ。
「人の気も知らないで、自分だけが被害者だというつもりなのか？」
自分の口から転げ落ちた言葉と声はあまりにも冷たくて、罪悪感で作られた淀みに強い後悔がどぶん、と音を立てて落ちてきた。
「ごめんね、ニーカ」
口から滑り落ちた言葉は、彼女には届かない。
僕は、彼女に会いに行くことをやめた。
もうきっと会うことはない。あんなことを言った僕を彼女は許すこともないだろう。
そう思っていた。けれど、彼女は僕を見つけてくれた。探しに来てくれた。
「ごめん。僕こそ、ひどいことを言ったね。ごめんね」
あくまで"花食"としてしか見られていないとしても。彼女がとても辛そうな顔をするから。
彼女の花食への恐怖心を知ったうえで、僕は再び彼女に会いに行くようになった。
「大丈夫。君を食べたりなんかしないから。君に触れないから。僕のことを──」
"花食"を見る彼女に声に出さずに訴える。
僕は、"エルマー"だよ。
ねえ、でも僕が口にしなくてももしかして君は気付いているのかな。気が付いて、それで君が優しいからこうして真っすぐに僕を見てくれるのかな。ずっと君を騙して傍に居たのにそれでも僕を信じて、不器用に微笑んでくれるから、
「僕はその笑顔で君を騙していたのに、それなのに好きって言ってくれるの？」
「こう…こんな捻くれたこと言うつもりじゃなくて、その、ニーカさんに嫌われるのは嫌で、」
これからも、いつまでもその真っすぐな瞳に見つめられていたい。僕を僕として見てくれるそのあたたかさが心地良いんだ。君なら、種族の違いなんて関係なく僕のこの感情も受け止めてくれるって、甘えてしまってもいいのかな。
「僕がこんな事を言っても良いのか不安なんだ…それでも言わせて」
「君が僕と向き合ってくれた事が嬉しいんだ。僕を僕として見て、笑顔を見せてくれる事が…」
「僕も、君のことが好きなんだ」
「僕を、エルマーを、見てくれて、ありがとう
──大好きだよ、ニーカ」
♦︎申請について
年齢や職業などに拘らず素敵なご縁がありますように。どのような関係性でも、お話ししながら決めていけたら幸いです。
ありがたくも申請していただけた際は、即日〜2日以内に返信いたします。それ以降も返信がない場合は未着の可能性がございますので、お手数ですが再送をお願いいたします。
♦︎交流について
pixiv、外部などお相手様に合わせます。企画終了後もお互いのペースでのんびりとやり取りができれば嬉しいです。
交流可タグは、イラストや漫画で形にしたいという気持ちから付けていますが、他企画やリアルの都合でとてもゆっくりになります…！また、当方からイラストや漫画を描かせていただいてもお返しを求める意図はございませんので悪しからずご了承下さい。
不備等ございましたらお手数ですがご連絡下さい。
2021-08-04 14:42:37 +0000