1990年代後半から「鉄道ジャーナル」で欧州のトランジットモールとLRTの導入事例を取り上げて日本への導入を主張する論調がよく掲載され、「バスラマインターナショナル」でも欧州のようにノンステップバスやコミュニティバスの活用を古くから主張していた。西暦2000年以降、日本でもこのような交通網が整備されていることを夢見ていた。一部の交通ジャーナリストは、ミニバンをベースにした欧州タイプの小型FFバスの導入を主張していた。
路面電車の超低床車やノンステップバス・コミュニティバスの導入事例は全国各地で見られるものの、イカロス出版「路面電車年鑑」で厳しく断罪しているように、決してバラ色に改善したわけではなく、財政面や人手不足などでむしろ厳しい状況下にあることが2019年の段階で指摘されている。乗車券に関しても、未だにIC乗車券が使えない事業者・ICカード導入でも地域限定のカードしか使えないケースも少なくない。
岐阜市では名鉄岐阜市内線や名鉄美濃町線や名鉄揖斐線の廃止から16年経ったが、岐阜市中心部の商店の撤退が相次ぎ、地方都市の空洞化に歯止めがかからない。名鉄廃止後のバスの利便性が高まったわけでもない。
コミュニティバス用の小型バスでは、欧州製のFFミニバンタイプは日本の気候や道路事情にマッチせず故障が相次いで早々に引退し国産車に置き換えられた。そして今、そこに中国製電気バスの参入が始まっている。
1990年代に「鉄道ジャーナル」や「バスラマインターナショナル」で盛んに夢見た西暦2000年の交通機関は、夢物語だったのだろうか?
2021-06-19 03:03:12 +0000