獅子は、百獣に君臨する王といわれます。
その無敵の獅子でさえ、ただ一つだけ恐れるものがある。
それは、獅子身中の虫です。我身の体毛の中に発生し、
増殖し、やがて皮を破り肉に食らいつく害虫です。
しかし、この害虫は、牡丹の花から滴り落ちる夜露に
あたると死んでしまいます。
そこで獅子は夜に、牡丹の花の下で休みます。
獅子にとっての安住の地が、そこに在ります。
また、アジア大陸の広域に生存する虎も、猛獣ですが、
その数5千頭から7千頭と、将来絶滅が心配されています。
虎は、象には勝てません。群をなした象には、
歯が立ちません。そこで逃げこむ処が竹薮の中です。
巨体は竹薮に入られず、また、竹薮に入ると、
象牙にヒビが入ります。その昔、杣人そまびとは、
象牙のパイプを竹薮へは持って入らなかったと
いうことです。青竹に象牙は禁物です。
従って、虎には竹薮が何よりの安全地帯であり、
依所であります。
「牡丹に唐獅子、竹に虎」という、古来より
耳にし目にする絵図ではありますが、そこに
彫り込まれているメッセージは、
「あなたの依所よりどころは、何んですか。
あなたが安心して身を寄せられる安住の地は、
どこに在りますか。」
と、あなたに問いかけています。
イラストは(わらべうた「うたのなかやま」から)
https://www.youtube.com/watch?v=QP8L5NBNocU&t=1s
2021-06-17 08:20:18 +0000