夏に語られぬ者

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ホヤウカムイ、又の名をサㇰソモアイェㇷ゚はアイヌ伝承に於いて山間の湖沼を始め水脈の周辺に住むとされる神(多くの場合は悪神)です。姿は羽を持つ大蛇のようで、目と口が赤く縁取られているとか、尖った鼻先で木を切り裂くとか兎に角禍々しい。もはや毒気レベルの臭気を放ち、通った跡の草木は枯れ、当てられたが最期人も神も身体が腐り焼け死ぬといいます。そして霊力が強いタイミングなら肉片にされて尚寄り集まって復活を試みるそうな。正に生ける厄災。

サㇰソモアイェㇷ゚は「夏、人が言わない者」という意。超弩級の怪物とはいえ蛇なので冬は行動が鈍いが、暖かい環境が確保された夏場や炉端では復活を恐れて口にするのも憚られたそうです。因みに「ㇰ」「ㇷ゚」はアイヌ語の発音をカタカナに落とし込む際用いられる事が有る特殊な表記の工夫です。或る言語を異なる言語で表す難しさが窺えますね。

創作では水木御大によるインパクト抜群の妖怪画が知られる他『うしおととら』では最強格の敵として洞爺湖に君臨。『ゴールデンカムイ』でも触れられてました。
イラストは民俗学者にして「学校の怪談」ブームの火付け役、常光徹監修の『にっぽん妖怪大図鑑』で何故かアイヌ伝承組唯一のピックアップだった項の、村山竜大という方の手になるメインビジュアルに影響を受けています。

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2021-05-17 14:51:14 +0000