埴谷雄高 「死霊Ⅱ」 第6章 愁いの王 より

金澤信明

「自己自身」のまったく新しい、まったく怖ろしい
「宇宙はじめて」の創出がそこにあります。
そのとき、この世界のすべては一変する筈です。
――なあんですって? 
これからの存在のなかにもまったくない
宇宙はじめての「自己自身」とはいったいどういうものでしょう? 
はじめからお願いしているように、
もっと解り易く私にものみこめるようにいって下さいな。
――「そと」からつくられた私でなく、
自らつくる私について考えに考えつづけて、
全存在のすべてのすべてから「自身」をきっぱりとひき離す
全存在への反抗と拒否を敢えて唯一の自己課題としたのは、
この長い長い存在史のなかで、三輪ひとりしかいません。

#埴谷雄高#死霊#rabbit#youkai

2021-04-14 11:00:03 +0000