「桜の季節だな。幹也」
「そうだね。式」
「桜はどうして散るのにこんなに綺麗なのか、昔は妬ましかった。
まるで散るから美しいみたいじゃないか。
散るために美しいなんてそんなのはとても嫌いだった。
はらはらと舞う桜の花が儚く見えたから。
だけど、今は不思議とこれは命なんだって思える。
次に継いでいくためのものだって思える。
そう思うとこれはなんてちからづよいものなんだってーーー」
「確かに僕らの一生は桜の花のような儚いものかもしれない。
でも、僕らは儚さを繋いで生きている。
確かにそれはちからづよいと言えることなのかも知れないね」
「はぁー、この唐変木」
「とうへんぼく…」
「 ーーじゃなかったらバカコクトー」
「僕は式に何かしたのかな?」
「…出来てる」
「?」
「だから、私たちの命が育ってる」
2021-04-09 13:42:07 +0000