「死ね」
「生きているのは見たくない、死ぬのが見たい」
「生きるのはやめろ、苛々する」
「死なないか?生きたいと抜かすか?」
『駄目だ死ね』
『赦さん殺す』
『命は死んで初めて俺の役に立つ』
名も無き咎人illust/87923042の成れの果て。
ごみ溜めで生まれ、ごみ溜めで育つ。
家族を知らないし、家族がなんなのかも知らない。
人が何だったのかさえ、よく分かっていない。
人が死ぬのが好きだった。
そこに理由は無く経緯も無い。ただ漠然と超絶に好きだった。
ありふれた畜生だったが、どういう訳か運良く生き残り大人になった。
人の死が沢山見られるので傭兵になり、沢山の屍を見つめた。
だが、戦がいつもある訳ではない。
そういう時はその辺の人間を殺して死なせた。
ごみ溜めに住んでいた周囲の人間は誰もこの男の行為を咎めなかった。
そんな事をすれば殺されてしまうからだ。そうでなくても殺されてしまうからだ。
誰とも心を通わせず、通わせる心すら持たない獣は、それ故に自分の行いが、自分自身が人でなしだと気付けなかった。
人という規範すら知らない分からないのに、人の形で産まれてしまった。
だから自分の行いが誰かの大切なものを奪う事なのだと分からなかった。
自分にとっては自分の行いがなにもかも当たり前で、間違いや罪に当たるものだと誰にも言われなかった。
そもそも誰もが生活の上で殺しをしているのは知っていた。
肉なり草なり、命を殺している。
その範疇に人が入っていないのを男は気付いていなかった。
だから許せなかった。
王子の復讐は男からすれば濡れ衣同然。
だって殺しただけなのに
みんながみんな毎日やっている事なのに
俺の殺しだけが何故?何故?
この王子が狂っているに違いない
だから逃げた
人に怒られるような事はしていない
あの王子が勘違いなり気狂いなりなんなりなのだろう
なんにしてもひどい迷惑だ
俺の生活を突然なにもかもぶち壊した
あの王子が悪い
そんな狂騒の中、末期の末期まで男は自身の潔白を信じて疑わなかった。
あの王子が悪い。
俺は死が見たいだけなのに。
死霊の王はそんな男を気に入り、声を掛けた。
ほんの少し、ほんのひとさじ。
それだけで男は死霊となった。
人として生まれたのが間違いならば、人以外に生まれ直す。
男の願いは漸く叶った。
身長は約3m程
死霊だけど基本物理で攻撃して来る(殺意が物質化するほど濃い)
聖なる力が弱点だけど、余程神聖な力でないと威力は期待できない(本人に神とか聖なるとかの概念が無いので通じ難い)。
会話はできるけど、超自己中超自己完結型なのであんまり意思疎通はできない。
あらゆる生命が好きじゃないので大抵皆殺しにしようとする。
閲覧ありがとうございます!
2021-04-06 16:45:27 +0000