卒業式の日に先輩を見送る実乃里です。
以下、妄想ストーリーです。
実乃里は、毎夜の先輩との逢瀬の場となっている体育倉庫へ向かった。先輩はもうすでに体育倉庫の中で待っていた。
実乃里は、先輩に対して「特別なデリバリーサービス」をこれ以上提供しない事を告げた。
先輩は狼狽し、実乃里に、自分の事が好きだから毎夜身体を交わしたのではないのかと詰め寄った。実乃里は、あくまでもサービスであって恋愛ではないと彼を突き放した。実乃里は、心が引き裂かれるほどの痛みを感じ、目に涙がにじんだ。
目の前の先輩は、顔を真っ赤にして恨めしく実乃里を睨みつけ、手の届く限りの体育道具に当たりながら、倉庫の出口へと向かった。そして、戸口で実乃里の方を振り返った。彼は泣いているように見えた。
彼が去った後、実乃里はひとり泣いた。いくら泣いても、心の疼きは癒えることがなかった。
翌朝、実乃里は預かった手提げ袋を親友に返した。
「ごめん、渡せなかった。」
「ううん、いいよ。無理言ってごめん。」
「あのね・・・。」
「なぁに?」
「ううん・・・。ごめん、何でもない。」
「???」
「ごめんね・・・。」
「・・・ううん。ミノが謝ることなんて、何もないよ。」
二人は、抱き合って泣いた。実乃里は親友の優しさが嬉しかった。
卒業式の日、実乃里は、肩を寄せ合う先輩と親友の姿を見た。
「身体だけの関係」だった実乃里と違い、彼女は実乃里の知らない彼の姿を知っていたからこそ彼に告白したのだろう。そう決心するまでには、彼女もたぶん、とても悩んだり苦しんだりしただろう。実乃里はそう思った。そして舞い散る桜並木の向こうに遠ざかる二人をそっと見つめながら、これから二人が幸せになることを心から願うのだった。
これで妄想ストーリーはおしまいです。
ここまで目を通して下さりありがとうございます。
頂いたコメントへのお返事が滞っていて、たいへん申し訳ありません。コメントには必ず目を通しています。後日改めてお返事しますので、しばらくお待ち下さい。
(桜の花びらに、clipstudioの素材を使用しています。)
2021-03-31 00:30:05 +0000