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(NHK 100分de名著)斉藤幸平の資本論

はじめにで、彼はこう書いています。要するに、「資本主義の暴走のせいで、私たちの生活も地球環境も、めちゃくちゃになっている」と。何故暴走するのかについては、資本主義社会では「資本を増やす」こと自体が目的になっているからと書いています。そしてその目的的な作動そのものが人間を逆に支配するという逆転(暴走)が生じていると。その人間が問題なのですが、それが人間全てが支配されているのか、ある種の人間なのかが曖昧になっています。都市と農村、中央と周辺、資本主義国と発展途上国と云った対立関係を図で語るのですが、そんな見方では、歴史的な・マルクス主義的な分析とはかけ離れたものになるしかありません。資本の化身であるブルジョワジーとその支配に抑圧される労働者階級が見えていなければ、解決する主役が違ってくるのは当然でしょう。ブルジョワジーの暴走の温和化という宥和策が芽生える必然的な論理になっています。共同体「コモン」が解決策となるわけです。マルクスはロバート・オーエンの共同体工場を評価しつつも、結果的に大きな資本群に潰されて行った経過に、闘い方の中心はそこにはないと、すり減った小石ではなく、粗い岩石こそが不可欠であると書いています。斉藤は、階級闘争史観など、晩年のマルクスは少しも強く取り上げていないと、まるで資本を制御できるかのようなお話にしています。彼の大学学部に菅人事が躍り込む成り行きは全く無いでしょう。

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2021-03-26 08:22:16 +0000