『ーまあ、ただ焼いて食べるより、ちょっと手を加えれば…けっこうイケるもんでしょ?』
グローミスがちょちょいと手を加えた『へびの肉』が、あっという間に三ツ星レストランの最高級料理に早変わり。あの淡白な白身魚を思わせる肉質が、ふんわりとろり、それでいて素材の旨味をしっかりと凝縮したジューシーな味わいに。一口食した通りすがりの美食家は驚愕した、あの『へびの肉』がまさかこれほどまでに昇華されるとは、口の中にひろがるふんわりとした食感から滋味があふれ出し香草と秘伝のタレのハーモニーからオーケストラが最高の指揮者によって奏でられる、ここは青空の下の一流音楽ホールか、いや世界蔦に開かれた最高級レストランだ、私は今、最高級の食材を最高級のシェフの手によって調理された最高級の料理を口にしているのだ。『おい、すまないがシェフをよんでくれないか…。』そこでハッとした、いやいやここはただの野外であり、それもヘブン中層の危険地帯の一つ世界蔦だ。なにこの豪華客船でめぐる世界高級リゾート満喫ツアー7泊8日の旅の5日目のディナー気分になっていたんだ。我に返った私はこの味を深く記憶に刻み込むことにした、これからの生涯にて私が口にするものはすべて二流以下になるであろう運命とともに…。
『ふう、大げさだなあ。こんな料理ならいつでも食べさせてあげるのに。』
ただの野外食においても伝説を作ってしまった男グローミス、もはや彼の通った後には伝説しか残らない。
■お借りしました。
へびさん【illust/88460565】
彷徨う耳ヴァルターさん【illust/88023093】
大剣のアンジェリークさん【illust/87759858】
エピソードはこちらを受けて
もう蔦には登らねぇ【illust/88543424】
■
不死身のグローミス【illust/87785658】
2021-03-21 08:02:18 +0000