さゆう「大丈夫、平気だよ、かみさまが導いてくれるから……」
◇◇◇
初めてのことではない。
これまでに何度も怪我をしたことがある。ヴェアは数多くのダンジョンを踏破した探索者だ。当然、危険な目に遭ったことだってある。死の間際を彷徨ったことも。
だが、そのたびにかみさまが救ってくれた。追ってきた獣の群れは、物音に連れられて遠くへ去っていった。森の中で倒れても、目が覚めれば宿屋で治療を受けていた。喉が乾けば水辺が、毒を受ければ薬草が、声の先に見つかった。安全に眠る場所を、食べ物を与えてくれた。生きるすべを教えてくれた。
命を救われるたびに、ヴェアはかみさまに感謝した。暖かな加護を感じて、心が満たされていった。誰かが自分のために手を差し伸べてくれている。その実感が、ヴェアの世界を照らしていた。ヴェアにとって世界は、深い霧に覆われた森のようだった。あらゆるものがあいまいに溶け合っている。自分自身の輪郭すらも。かみさまの光に照らされ、ヴェアは初めて自分を見つけたのだった。
かみさまの意をかなえることだけが、ヴェアの存在意義だ。かみさまが命を与えてくれた。今もかみさまに生かされている。ならば、かみさまのために命を使おう。神のものは神に。喜びと感謝をもって、与えられたものを返そう。
だから、ヴェアは信じる。神の導きを。その先に何があろうと、どんな結果になろうと、自分の知り及ぶことではない。目を閉じ、耳を済ませる。恐れはない。ただ信じ、進むだけだ。
◇◇◇
初めてのことではない。
これまでに何度もヴェアに怪我をさせたことがある。ヴェアは平凡な人の子で、特別優れた能力を持っているわけではない。当然、真正面から戦えば無傷ではいかない。
それでもヴェアは泣き言の一つも言わない。獣の縄張りに近づき、群に追われた時も。魔物との戦いから命からがら逃げだし、森の中で倒れた時も。飢えと渇きに彷徨っても、固い土の上で眠ることになっても。ヴェアは俺の声に耳を傾けた。
ヴェアは従順で疑うことを知らない。俺に導かれるまま足を踏み入れた先でどれだけの怪我を追おうと、「神よ、なぜ」とは言わない。理不尽な教えに出会えば、人は「なぜ」と問うものではないのか。迷える者を説き伏せ、信じさせるのは得意だ。だが、ただ信じる者は理解できない。
世界と自分自身を知るために俺は旅をする。「知」こそが俺の求めるものだ。迷妄の洞窟を抜けて真理の光を見ることが俺の夢だった。ならば、手段は選んでいられない。もとはといえば俺が拾った命だ。好きに使わせてもらう。
だから、同情してはならない。この先何があろうと、どんな結果になろうと、後悔してはならない。思い出せ、何のために進むのかを。恐れるな。ただ己を信じ、進むだけだ。
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第一章お疲れさまでした！ヴェアはツリーパー（illust/88254559）戦で負傷しましたが元気です！
マクベスさんから耐火コートをもらって、たまたま拾ったロアルさんの羽（illust/88071764）も装備して、準備万端！
かみさまはヴェアが怪我してちょっと口数が少なくなっているみたいだけど、遺跡探索へのやる気はバッチリだよ。
■お借りしました
【歩き廻る影】
マクベスさん（illust/87949932）
名も無きシーディアン（illust/88087359）
ロアルさん（illust/87720868）
イヌ（illust/88083744）
セイヘ・キマイラ（illust/88071368）
討滅戦でゲットした皮（illust/88194210）を使いました。
■
ヴェアとかみさま（illust/87721354）
ダイスが雑魚すぎて死にそう。助けて！！！！
第二章は以下のセルフダイスルール適用します。
【セイヘ・キマイラの耐火コート】
1d10振って1か8が出たら《炎による》ダメージを1回だけ無効化する。
お守り程度に…いいよね？
がんばろう！
2021-03-15 15:14:08 +0000