【春待】東井 柾邑【CS】



❀春になるまで、待っててよ【illust/86796337

▼東井 柾邑(あずまい まさくに)
男/23歳/進学塾の講師/178cm/5.7生まれ
一人称:俺 二人称:君(名前の呼び方は関係性で変わってきます)

穏やかで物静かな性格。
友人のひとりが氷室で今なお氷漬けで眠っており、
氷室の話題が出ると途端に黙り込む。

▽素敵なご縁をいただきました!(3/1)
 花畑 唯花さん【illust/87841984

ガラス一枚隔てた先で眠る姿は、いつかの合宿で、お互いの部屋に泊まった日に、
飲み明かした翌日の朝にみた顔と同じだった。
いい加減起きろよ、と声をかければ今にも起き出しそうないつもの寝顔。
違うのは――氷の中に閉ざされてこちらの声が届かないことだ。

あの日から、2年たって、三度目の春。

久しぶりに『氷室』の名前を聞いたのは、見覚えのない若い女の子の口からだった。

「俺が言っても説得力ないけど、見知らぬ男性に連絡先教えるのはよくないよ」

聞けばまだ10代だという。人懐こくて、犬みたい。
昔飼ってた犬を思い出すからか、なんだか無碍にはできなくてそのままずるずる会い続けた。
こんな風に同じ相手と何度も約束するなんて、いつぶりだろう。

……一生懸命さや素直さがまぶしくて、目が眩むのは、なぜだ。
「そんな風に思ってもらえるような人間じゃない」ととっさに思って、言葉を飲み込んだ。

「……楽しくなきゃ会わない。花畑といると、楽しいよ」

代わりに出てきたのは小学生みたいな言葉で、それでも君は笑ってくれるから。
人懐こくて明るい君の中にも、俺と似たものが沈められていることに気づいたのは、
いつだったろう。

彼女の人生には俺が体験するよりずっと長い時間、
『氷室』が存在しているのだ。

…それがどういうことなのか、わからないはずはないのに。

「……会いたい、唯花」

どんな気持ちで、友人が、友人の想い人が『あの言葉』を口にしたのか。
俺には一生わからない。
――そのはず、だったのに。

「……そうだな」

俺に寄りかかる、君の温度が氷のよう。
触れた先から、こぼれおちそうな感情にじっと耐える。
まるで、春を待つ北の桜の花のように。

ああでも、北の桜は石を割って咲くけれど、
俺たちの想いはこぼれおちた途端、凍り付いてしまう。

「当たり前の幸せを得るために誰かを好きになるんじゃない、…少なくとも、俺は」

――――君の、ことを。

▼交流について
  現在、pixiv上・外部ともに作品や語りのやり取りは波があります。
  ゆっくりマイペースに末永くお付き合いさせていただきたいです。
  既知関係・モブ・背景等はご自由にお使いください。

よろしくお願いします。

▽主催様承認済(2/27)
▽キャプション随時編集(更新:3/21)

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2021-02-27 14:10:36 +0000